#5 幸せになるためにはどうしたらいいですか?マネー系YouTuber”ぱすたお”から若者へのアドバイス!

豊かだけど何かか足りない日本。GDPは世界トップクラスだけど、幸福度ランキングは堂々47位!(2023年度)

「幸せ」っていうけれど、私たちは「幸せ」についてどれだけ知っているのか?

本連載の最後は、マネー系ユーチューバー"ぱすたお"さんに、「幸せ」と「お金」について聞いてみました。

後半は、大学生向けの読む価値のある本紹介、特に、価値あるお金の使い方は必見です!

【ぱすたお】
マネー系YouTuber。YouTubeチャンネル「ぱすたお家のFIREセミリタイア戦略ch」の運営者。自身の知識や経験を元に、株式投資や家計管理などお金にまつわる情報を発信中。

ぱすたおさんへの個別の連絡や質問はこちらから▶️ぱすたお公式LINE

幸せとは何か?

--お金とセットで語られることが多いですが、ぱすたおさんにとって幸せとは何だと思いますか?

確かに、FIRE界隈の人と話をすると、不思議とその話題になります。個人的な意見ですが、お金を持ってるだけでは幸せになれないと考えています。

知り合いに、30代独身で3億円もの資産を持っている人がいます。毎日高いご飯を食べて、異性とも時折遊んで、男性からしたら羨ましい身分かもしれません。

でも本人曰く、孤独だし全然ハッピーじゃないとの事。

幸せになるための3つの軸

幸せになるためには、「お金」「時間」「人との繋がり」の3つが土台になると思います。

これは有名な橘玲さんの著書「幸福の資本論」の中でも、金融資本、人的資本、社会資本として紹介されています。

金融資本は、ざっくり言うとお金の量。実生活に困らないだけの収入や蓄えがあること。

人的資本は、自己実現や稼ぐ力など。心の余裕とかも関わってきます。

社会資本は、人との繋がり

これらが全て満たされると、幸福を感じやすい。自分でも納得感があったので、意識して満たすようにしています。

お金だけある人が見落としてること

投資でお金持ちになった人は、人的資本や社会資本を見落としがちです。

例えば、お金はあるけど周りに人がいなくて孤独だったり、ビジネスで成功した訳でもないから、社会に必要とされているか分からなかったり

自分もその辺は気を付けるようにして、FIREした人たちが集まるコミュニティを作ることで繋がりを感じられるようにしています。さらにそこで仕事の繋がりができると、自己実現や自己承認にもなるし、社会との繋がりも増える。

幸せには、お金以外にもいろいろな要素が必要なんだと思います。

お金を持っても人との繋がりを大切に

投資、副業、本業で成功すると、昔のコミュニティを捨てる人がいますが、それはすごくもったいないと思います。

例えばよく見かけるのが、自営業やフリーランスになった人が会社員を悪く言ったり、投資で少し上手く行った人が投資をしていない人を見下したりする事です。

人生のフェーズや社会的身分によって付き合う人が変わるのはしょうがないかもしれません。しかし、過去に仲の良かった人まで切り捨てていくのはちょっと違う気がします。

投資や仕事で成功している時は、自然と人が寄ってきます。もちろんほとんどは良い人や価値観が合う人ですが、中にはあなたを利用するために近寄ってくる人もいます。

そういう人は、あなたの調子が悪くなるとソッと離れていくんです。勝ち馬に乗りたいだけなんですよね。

そうではなく、自分が何者でもなかった時に仲良くしてくれた人こそ、大切にすべき繋がりだと思っています。そういう人は、利害関係なくあなたと付き合ってくれますし、大切にしてくれます。

ですので、自然消滅はしょうがないですが、敢えて繋がりを切ったりはせず、人との縁は大切にするべきだと考えています。

心の前にお金を稼ごう

--これから3つの資本を作っていく大学生や若者に何かアドバイスはありますか?

日本は資本主義の国なので、やはり金融資本がベースになると思います。資本主義社会で自由に生きるためには、どうしてもお金は必要です。

だから、綺麗ごと抜きにすると、やっぱりまずは稼ぐことからだと思います。

起業系の本にもよく書いてますが、心を磨くのはお金を稼いでからでもいいんです。お金と心、同時に満たせたらいいですが、やっぱりそれは難しい。

だから、まずはお金だけ稼いで成金になってもいい。その後に、慈善事業をしたり寄付で世間に還元して、社会資本を貯めていく。それでいいと思います。

ぱすたおに影響を与えたオススメの本

--ぱすたおさんが影響を受けた本で、オススメのものがあれば教えてください。

パッと浮かんだ1冊目は、リンダ・グラットンさんの「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」。この本は、大学生でも社会人でもみんな読むべきだと思います。

ざっくり言うと「人生100年時代となり、昔と今とで人生のステージの構成が変わってきてる」って話です。

昔は、大学生まで勉強して、社会人で働いて、定年で終わったらリタイヤ、そんな3ステージのモデルでした。それが、現在はマルチステージになっている。

会社員を続けてもいいし、起業してもいい、もう一度大学で学び直してもいい。定年にも縛られる必要なく、体が動く限り現役時代を続けて、自分の好きなタイミングで定年を決めていい。

こうしたマルチステージの考え方が、すごくしっくりきました。

大学生の時は「数年ごとに仕事や生き方を変えて色々な経験をしたい」と思っていたんですが、そんな生き方をしている人は身近にいないし諦めていました。

LIFESHIFTの内容はずっと憧れていた生き方そのものだったので、自分の考え方が肯定されている感じもして嬉しかったです。

現代は世の中の変化が早いので、私も数年後にはどうなっているか自分でも想像ができません。もしかしたら価値観の合う会社を見つけてまた会社員をしているかもしれないし、YouTube以外の全く新しい活動を始めているかもしれません。

色んな生き方があっていい、むしろ自分の興味関心が赴くままに色々な事にチャレンジすべき。そんな柔軟な考え方にさせてくれるおすすめの本です。 

金融資本スタートにオススメの本

次は、お金に関する本を2冊。

「敗者のゲーム」「ウォール街のランダムウォーカー」

こちらの2冊はマネー本の名著なので、ご存知の方も多いかもしれません。

乱暴にまとめちゃうと

  • 「個別株の予想は当たらないから意味がない(やるだけ無駄)」
  • 「それよりインデックス投資で、ひたすら市場全体を買い続けるべき」
  • 「30代〜60代など年代毎に取れるリスクは異なるから、資産配分だけ調整すべき」

そんな感じの内容です。

1970~80年代に出版された本ですが、何度も何度も改訂されてるだけあり、やっぱりいい本です。

時の洗礼を受けた本を読もう

投資本って、毎年たくさん出ています。「最短で金持ち」みたいなキャッチーなタイトルの本も多いですが、正直に言うと疑わしい内容や実用性が低い本も多いです。

色々な情報に振り回されないように、1冊でもいいから投資手法の軸となる名著を読んでおいてほしい。考える軸となる1冊があれば、怪しい情報にも騙されずに済みます。

その意味で、時の洗礼を受けた本を読むのはめっちゃオススメです。

若者のお金の不安との付き合い方

--「大学生は時間あるけどお金がない」と言われますが、やりたいことはいっぱいあるんですけど、お金がなくて不安になります。

やりたいことがいっぱいあるって、めっちゃ良いことですよ!

働き出したら大学生時代より収入は増えると思うので、そこまで心配しなくていいと思います。それよりは、今やりたいことをガンガンやって欲しいです。

むしろ、明確に欲しいものとか、やりたいことがある方が大事。それを我慢して、大学生からお金を貯めてもしょうがないと思います。

「経験に投資する」という意識で、若いうちは色々な体験にお金を使ってみてください。

死ぬことの方が難しい恵まれた日本

--少し前に「老後2000万円問題」が炎上したり、お金とかこの先の将来の不安があります。どう向き合ったらいいですか?

その気持ちは、すごくわかります。ただ、1回ニートになった経験から、過度に不安になる必要はないと思っています。

住民税や所得税、健康保険料や年金の支払いなど、生きる上で払わなきゃいけないお金は確かにあります。でも日本って、払えなかったら払えなかったで何とかなるんですよ。

税金や保険料は減免制度があるし、家族が働いているなら扶養に入れば保険料や年金はかかりません。つまり、仮に就職して仕事が合わなくて辞めても死ぬわけでもないって事です。

大学に入れたみんななら、生活保護の申請も自分でできると思うし、むしろ金銭的な理由で死ぬことの方が難しいんじゃないかなと思います。

他の国だったら分からないけど、日本はやっぱり恵まれた国です。親との関係も良好で戻れる状況にあるんだったら、実家に帰ってもいいじゃないですか。だから、お金の心配ってそんなにする必要ないんだろうなと思っています。

ニートになったからこそ捨てられたプライド

「それはちょっと…」と感じる人もいますよね。私も1社目の銀行を辞める前はそんな気持ちでした。変にプライドがあって、世間の目を気にしていました。

でも、仕事を辞めてニートになった時、世間って自分の事なんか全然気にしていないんだな、余計なプライドを捨てれば意外と楽に生きられるんだな、と気付いたんです。これに気付けたのはニートになった大きなメリットでした。

世の中やメディアは過剰に将来の不安を煽りますけど、そこまで悲惨な事はすぐには起きないし、一度失敗したら取り返しがつかないなんて事はないと思います。

仮に一般人の生活が一変するレベルの変化が起きたとしたら、それは日本全体の危機ですよ。個人で備えられるレベルじゃないし、影響範囲が大きいので国や自治体も動くはずです。

だから、過度に将来に不安を覚えるよりは、いま目の前にあるやりたいことに集中して取り組む方が、よっぽど健全だし有意義な時間やお金の使い方だと思います!

大学生の内に経験しておくべきこと

社会人には社会人の楽しみはありますが、学生の内にやりたいことは、今の内にやっといた方が絶対いいです。

でもその上で、一つだけアドバイスをするなら、何でもかんでもお金使うんじゃなくて、「これをやるためにお金を貯める!」みたいな感じで、自分なりに目的を持ってお金を貯める・使う経験をしておく事です。

そうすれば、目的に向けてお金を貯められたという達成感や自信が得られますし、自分が頑張って貯めたお金なので、その価値をより強く感じる事ができます。

同じお金でも重みが違う

大学生にとっての1万円と社会人にとっての1万円の価値が違うように、そこから得られる経験も違う。

例えば、バイトを頑張って10万円貯めて、そのお金で旅行に行ったら、めちゃくちゃ楽しいし思い出にも深く刻まれると思います。

これが、親から毎月数十万仕送りもらってお金に困らない学生さんだったら、同じ旅行に行っても感動が違うかもしれない。

お金の価値観や重みって、その人の環境で全く違うんです。

大学の学費を払うために奨学金を借りる学生もいれば、親が払ってくれる学生もいる。毎月仕送りをもらえる学生もいれば、アルバイトで生活費を稼がないといけない学生もいる。

恐らく多くの学生さんは、これまでの人生で学費やお小遣いなど親から金銭的な援助を受けていると思います。

その時に、「お金を出してもらえて当たり前」という気持ちがあると、お金の価値や重みを感じづらくなります。

私も学生の頃から親には感謝していたつもりだったんですが、働いて自分でお金を稼ぐ様になってから、改めて親の凄さを知り、感謝の気持ちが強くなりました。

もしお金に無頓着な生活を送っているなら、目的を持って、頑張って貯めて、気持ちよく使うことをやってみてください。

これはこれから生きる上でも役に立つ考え方になるし、一生残る経験になると思います!

--本日は大変貴重なお話ありがとうございました!!

[文:東濱理沙 / 編集:吉中智哉]

[撮影:梨本和成 / デザイン:舩越英資 ]

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