ガクチカの構成8ステップ|執筆ポイントや例文を紹介

ガクチカは就職活動において最も重要な質問事項であると考えられます。

しかしながら

・ガクチカの書き方がわからない
・ガクチカの構成がわからない

という方も多いでしょう!

そこで、本記事では、「ガクチカの構成」「ガクチカ執筆のポイント」「ガクチカの例文」を紹介します。ぜひ参考にしてください。

ガクチカ構成は8段階

ガクチカの構成は以下の8段階に分けられます。

・概要
・目標
・現状
・問題
・原因
・課題
・施策
・結果

この構成は問題解決思考に準じたものになっており、このフレームワークに沿って文章を書くことで、論理の飛躍を排除することができます。

問題解決の全体像は下図をご参照ください。

参考:「[新版]考える技術・書く技術」https://www.diamond.co.jp/book/9784478490273.html

それでは、それぞれの要素を一つずつ見ていきましょう。

概要

ガクチカの全体像を一文で要約します。

・概要の例:当時勤めていたアルバイトにて、顧客数向上に勤めた経験である。

目標

目標とは、ガクチカにおいて自身が立てた目標のことです。

目標はできる限り、定量的に(数字で)表せるものの方が良いですが、定性的な(数字で表せない)目標でも問題ありません。

・目標の例:アルバイトで勤めていた飲食店にて、客数100人/日を目指していた。

現状

現状とは、目標を立てた際のスタート地点のこと。目標に対して現状(当時)はどのような状態だったのか?を表します。

・現状の例:現状の客数は70人/日であった。

問題

問題とは、目標と現状のギャップのこと。目標と現状にどれだけの差があるのか?を示す。定量的な目標であれば、単純な引き算によりギャップは算出できる。

・問題の例:問題は客数が30人/日低いことであった。

原因

原因とは、問題が生じている理由のことです。なぜ問題が生じているのかを考え深堀ります。

原因を考える際のポイントは2点あります。

・MECEを意識すること
・何度も深堀すること(なぜを繰り返す)

MECEとは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、列挙した要素に「モレがない」かつ「ダブりもない」状態のことです。

問題解決においてMECEが重要な理由は、検討すべき論点を網羅的に挙げるためです。

検討する論点にモレがある場合、漏れていた論点が重要な要素であった場合、解決すべき真因を見誤ることになります。真因を見誤ると問題を解決したときの効果が小さくなります。

よって、問題解決が本来目指すべき目標を達成できなくなります。

・原因の例
客数目標と比較して30人/日低い理由は、新規客が少ない/既存客が少ないの2点であるが、当店はリピーター率が非常に高いことから新規客が少ないことが原因だと考えた。また、新規客が少ない原因は、低い訴求量/低い訴求力の2点が考えられるが、訴求力に関しては口コミ評価の高さから原因でないと判断した。よって低い訴求量が問題の真因だと考えた。

課題

課題とは、原因を解決するためのアクション(行為)のことです。よく問題と課題を混合して使っている人がいますが、この2つはまったく別の意味を持っています。問題は目標と現状のギャップのことであり、あくまで状態のことを指しています。一方、課題は問題の真因に対する行為のことを指します。問題と課題の言葉の定義は異なるため、改めて確認しておきましょう。

・課題の例
問題の真因は、訴求量の低さであるため、課題はマーケティングへの注力とした。

施策

施策とは、課題をさらに具体化したアクションのことです。

・施策の例:具体的には、当店のボリューム層が若者であることを考慮しSNS運用に乗り出すことを判断した。

結果

結果とは、施策によって成し遂げた成果のことです。

・結果の例:結果、若年層への認知度が高まり客数向上に貢献することができた。

以下は、これまで掲載してきた例文を図解したものです。問題解決のフレームワークに沿った例文の全体像をビジュアル化しています。

全ての要素を入れてガクチカ完成

これまで紹介した全ての要素を入れると以下様にガクチカが完成します。

ガクチカ例文全文

力を入れたことは当時勤めていたアルバイトにて、顧客数向上に勤めた経験である。アルバイトで勤めていた飲食店にて、客数100人/日を目指していた。現状の客数は70人/日であった。問題は客数が30人/日低いことであった。客数目標と比較して30人/日低い理由は、新規客が少ない/既存客が少ないの2点であるが、当店はリピーター率が非常に高いことから新規客が少ないことが原因だと考えた。また、新規客が少ない原因は、低い訴求量/低い訴求力の2点が考えられるが、訴求力に関しては口コミ評価の高さから原因でないと判断した。よって低い訴求量が問題の真因だと考えた。問題の真因は、訴求量の低さであるため、課題はマーケティングへの注力とした。具体的には、当店のボリューム層が若者であることを考慮しSNS運用に乗り出すことを判断した。結果、若年層への認知度が高まり客数向上に貢献することができた。(399字)

ガクチカと自己PRの構成は違う

ガクチカと自己PRの構成は全く異なります。異なっている理由は2点あります。

・思考法が異なるから
・文章の目的が異なるから

思考法が異なる

1点目の相違点は「思考法が異なる」点です。

以下が、ガクチカと自己prそれぞれにおいての思考法です。

・ガクチカ:問題解決思考
・自己PR:帰納法

問題解決思考(ガクチカ)

問題解決思考とは、問題起点で課題や解決策を導出する思考法のことです。

自身で立てた目標を達成する際には、一般的に問題解決思考を用いることで合理的な意思決定を行えると言われています。

また、ガクチカとは、一言で言い換えると”目標に向けて頑張った経験を説明する”ことです。つまり、ガクチカは目標達成に向けた思考法である問題解決思考と親和性の高い設問であるといえます。

よって、ガクチカではこの問題解決思考が採用されています。


*問題解決についてさらに詳しく知りたい方は、下記書籍を参考にしてください。

帰納法(自己PR)

一方、帰納法とは複数事例の中から、共通している要素を特定し、結論を導出する思考法です。

自己PRは「自分の強みは何か?」を説く設問です。

強みを説く上で、1つの個別事象のみを根拠とする場合、”本当にそれってあなたの強みといえるのか?”と突っ込まれるでしょう。

要するに、少数事例だけを基に自身の強みを定義づけることは、根拠が薄いということです。

よって自己PRでは過去の複数事例の中で、共通する自身の強みを抽出し、帰納的に説明することが最適であると考えられます。

文章の目的が異なる

・ガクチカ:経験を詳細に説明すること
・自己PR:強みを証明すること

端的に言うと、自己PRは証明であるのに対し、ガクチカは事例説明であるという点で異なっています。

自己PRは自身の強みを明示し、なぜそれが自身の強みと言えるのか?を証明していく構成になっています。

一方、ガクチカは特に証明する事柄はありません。ゆえに、証明ではなく単に一番力を入れた経験を詳細に説明するだけの構成となっています。

自己PRの構成する4ステップ

ガクチカの構成は、理解できたかと思います。また、ガクチカと自己PRは構成が異なることをお話ししました。

では、自己PRは具体的にどのような構成なのでしょうか?

自己PRの構成は以下の4つです。

・結論
・理由
・具体例
・結論

結論

最初と最後に自分の強みやアピールポイントを簡潔に述べます。

結論は要点を簡潔にまとめ、相手に強く印象付けるためのものです。

初めの結論では、自分の強みを一言で表現し、聞き手の興味を引きます。最後の結論では、具体例や理由を踏まえた上で再度強調し、記憶に残りやすくします。

理由

次に、自分の強みやアピールポイントの裏付けとして、なぜそれが自分の強みなのかを説明します。

ここでは、自分の経験や背景、スキルを通じて、その強みがどのように培われたかを説明します。具体的な事例や実績を用いることで、説得力が増します。

具体例

理由を説明した後に、具体的な事例やエピソードを挙げます。

具体例は、自分の強みを実際に示すためのものであり、相手がイメージしやすくなります。

仕事や学業での実績、プロジェクトでの経験など、具体的な状況や結果を示すことで、説得力がさらに高まります。

結論

最後に再度、最初の結論を繰り返しますが、理由や具体例を踏まえた形でまとめます。

これにより、自分の強みが具体的な裏付けを持つことを再度強調し、相手に強く印象付けることができます。

聞き手が最も記憶に残りやすい部分でもあるので、しっかりとした印象を与えることが重要です。

ガクチカ執筆前に行う準備

ガクチカを書くためには下準備が必要です。下準備として、以下2つが必要になります。

・自己分析
・業界研究(ビジネスモデルや業務内容の理解)

自己分析

1点目は自己分析です。自己分析とは、自分自身の性格や価値観、強みや弱み、興味や関心などを深く理解するためのプロセスを指します。自己分析は、自己理解を深めることによって、キャリア選択や人間関係、自己成長に役立ちます。

下記の手段で自己分析は行えます。

・自己評価シートの記入
・性格診断テストの利用
・フィードバックの収集
・ジャーナリング

業界研究(ビジネスモデルや業務内容の理解)

2点目は業界研究です。業界研究が必要な理由は、ガクチカと志望する業界業種の整合性を担保するためです。
業界研究の方法は、主に5点あります。

・インターネット検索
・業界団体の報告書
・経済誌やビジネス雑誌
・業界関連の書籍
・専門家や業界関係者へのインタビュー

インターネット検索

インターネットは、業界研究において最もアクセスしやすい情報源の1つです

。業界関連のウェブサイト、ニュースサイト、ブログ、業界団体のウェブページなどを活用して、業界の最新情報やトレンドを収集できます。

また、chatgptの使用もおすすめです。調べたい業界の収益モデルを出力させたり、3C分析を実行させることが出来ます。

以下は、chatgptが「銀行の収益構造」をアウトプットしたものになります。ツリー構造に分解し簡潔にビジネスモデルを教えてくれるため、効率的に業界分析が行えます。

画像引用元:https://chatgpt.com/

業界団体の報告書

業界団体や専門機関が発行する報告書や調査レポートは、業界研究において重要な情報源です。

これらの報告書には、業界の成長率、市場動向、規制状況などが詳細に記載されています。例えば、以下の報告書では各業界の動向をまとめています。

参考:「みずほ産業調査 Vol.73」https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/m1073.html

経済誌やビジネス雑誌

経済誌やビジネス雑誌には、業界の最新情報やトピックが掲載されています。

例えば、『フォーブス』や『エコノミスト』などの雑誌は、幅広い業界に関する記事を提供しています。

本だけでなく、Webサイト上でも様々な情報を発信しています。参考までにどうぞ。

参考:「Forbes JAPAN」https://forbesjapan.com/
参考:「週刊エコノミスト」https://www.weekly-economist.com/

業界関連の書籍

業界研究に関する書籍や専門書も有用です。

これらの書籍には、業界の基礎知識やトレンド、成功事例などが詳細に解説されています。

専門家や業界関係者へのインタビュー

業界の専門家や業界関係者とのインタビューを通じて、業界の内部情報や洞察を得ることができます。

LinkedInや業界イベント、matcherなどを通じて、コンタクトを取ることができます。
参考:「matcher」https://matcher.jp/

ガクチカ執筆における2つのポイント

ガクチカ執筆に関する、抽象論を紹介してきましたが、これだけだとまだイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思います。

そこで、執筆におけるポイントをいくつか紹介いたします。

・ストーリーのインパクトよりも思考の深さ
・志望する職種に合わせたガクチカを選定する

ストーリーのインパクトよりも思考の深さ

思考の深さが重要である理由は2点あります。

・ストーリーのインパクトの高さはいくらでも嘘によって取り繕うことができるから
・インパクトの高い経験は必ずしも再現性が高いとは限らないから。

ストーリーのインパクトとは、ストーリーそれ自体の魅力や希少性のことを指しています。ストーリーのインパクトがある具体例は下記のものが挙げられます。

・起業経験がある
・体育会主将の経験

これらは、確かに希少性が高く一般的に魅力が高いエピソードと言われています。また、それに伴いガクチカにおいて重要なのはインパクトのある魅力的な経験をすることであると考えている人が多いのが実情でしょう。

しかし最も重要なのは、ストーリーのインパクトではなく、思考の深さです。思考の深さとは、ガクチカにおいて生じた問題や課題をどれだけ深いところまで考え抜くことができたか?を示す物差しのことです。

以下に思考が「浅い例」と「深い例」の違いを例文で解説します。

・思考が浅い例

ガクチカは、体育会主将として大会成績アップのために務めた経験です。部員たちの技術力を高めるために、練習量を増やしました。その結果、大会の成績を向上させることに成功しました。

・思考が深い例

志望する職種に合わせたガクチカを選定する

志望度の高さはガクチカにおいてもアピールすることが可能です。

極端なことをいえば、web業界に提出するガクチカの場合、web関連の経験をガクチカとして書けばそれだけで、web業界への興味の高さをアピールすることができると考えられます。よって、志望する職種に合わせたガクチカの方が有利だといえます。

反対に、志望する業種の性質と正反対のガクチカを提出することはディスアドバンテージとなり得ます。

例えば、チームワークが必須の業種に応募する際、個人ワークで成果を上げたガクチカを用意することは不利になると考えられます。なぜなら、会社としてはチームワークが問題なくできるか?が重要な評価指標だと考えられるため、個人ワークのガクチカを提出するとチームワーク力を評価できないからです。

上述の例の他にも様々な切り口において最適なガクチカを選定していく必要があるでしょう。例えば、以下の切り口が挙げられます。

・論理的思考 vs 対人能力
・toC vs toB

自身の志望業界で求められるスキルと自分が持っているいくつかのガクチカの性質を照らし合わせ、よりマッチ度の高いストーリーを選択すべきでしょう。

ガクチカの例文2選

ここまでガクチカの構成や執筆におけるチップスを紹介してきましたが、まだイメージの湧かない方は多くいらっしゃるかと思います。そこで例文を2つ紹介しますので参考にしてください。

・サークル
・バイト

サークル

大学2年生の時から、「社会人へのキャリアの取材をし、大学生向けにweb記事を公開する」という活動を行う、学生団体に所属している。現在は、取材候補先へのアポイントメールや取材後のインタビュー先への記事確認メールの作成、そしてWordPressを利用したweb記事作成とwebデザインを担当している。学生団体ではSlackで連絡を取る。活動の中で、web上で活動していることから、認知度が低いという課題に直面した。従って、3つの施策を実施した。はじめに、著名なアナウンサーや投資家などに対して、積極的にアポイントメールを送信した。2点目に、スマホユーザーが多いことが判明したため、UIをユーザーフレンドリーに改善した。具体的には、画面をスクロールする度に画像が表示される仕組みを導入し、ユーザーの「文字疲れ」を軽減させた。3点目に、web記事を冊子にまとめ、大学周辺のカフェに冊子を設置する提案を始めた。実際に、利害関係の一致のために、学生団体のSNSでカフェの紹介を行い、その代わりに冊子を置いてもらう提案を行った。以上の取り組みの結果、著名人との取材が叶い、記事の閲覧数も増加したため、団体の知名度も上げることができた。

バイト

大学2年生の時に、中学受験塾で集団授業の講師として、難関校合格率を向上させた経験である。当時、自校は系列校と比較して、難関校の合格率が低く、保護者に不信感を与えていた。そこで、講師間で、6年生の難関校の合格率を前年の15%から25%に引き上げる目標を掲げていた。しかし、その際、課題として、授業を終えるとすぐに退勤する講師が多く、生徒情報が適切に共有されないことで、生徒に対して適切な学習法を提示できていなかった。

施策として、講師間でフィードバックを導入し、生徒の進捗や指導上の課題についての情報共有を開始した。具体的には、三者面談で得た最新のデータや他講師からの情報をもとに、他講師と共に生徒と保護者一人一人の特性を分析をした。その結果、講師同士の連携が強化され、生徒の課題の解像度も上がった。そして、最終的に保護者と生徒に対しては、当塾の学習法の効果と、各生徒に適した学習法を上記のデータを用いて説明した。その結果、生徒の非効率な学習が減り、当塾の効果的な学習に集中できる生徒が増えた。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
本記事では、

・ガクチカの書き方がわからない
・ガクチカの構成がわからない

という方に向けて「ガクチカの構成」「ガクチカ執筆のポイント」「ガクチカの例文」を紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

投稿者プロフィール

二木優哉
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