#2「英語を学ぶ」から「英語を使う」へ:英語系YouTuberのChinatsuさんから英語学習者へのメッセージ
【Chinatsuさん】
東北生まれ東北育ち、中学時代に英語に出会う。20歳で国立大学を中退後、ワーキングホリデーでシドニーを訪れ、以後8年間オーストラリアに住んでいる。現在はメルボルン在住。
現地で仕事をしながら、登録者8万人超のYoutubeチャンネル「Chinatsu The Emo」にて英語学習のコツや海外生活について発信している。
英語学習のを続けるコツ
ーー英語を頑張って勉強している大学生に向けてメッセージをお願いします!
英語学習は「机の上だけの勉強じゃない」と思っています。英語だけじゃなくて、言葉って生きてるものだと思うので、生きていく中で覚えていくのが大事です。
人によって、使う単語だったり、自分なりに使う表現だったりというのがあると思います。
例えば、ベストセラーの英語問題集をやったからすぐ英語が伸びるわけじゃなくて、自分が生きる中で新しい言葉を見つけたり人との出会いがあったりして、その人が使ってる表現を学んだりすると思います。
今、勉強の成果が出てないなとか、英語ネイティブと会ったときに話できなかったなと思うかもしれないけれども、その本当に小さいことが、絶対積み重なっているはずです。
私自身、留学した人間でもないし、英語塾に行ったわけでもありません。ただただ英語の勉強を積み上げてただけです。
時間はかかりましたが、英語力って確実に毎日1ミリぐらい伸びてると思うので、諦めないで、本当にやれることをまずやることが大事だと感じています。
その上で、一気にバーンって伸びると思わないこと。コツコツ学ぶことは、絶対に実を結びます。その過程を楽しんでほしいし、いい意味で期待しないでほしいと思います。
*関連動画紹介
心が折れそうになった時
ーー勉強している中で挫折した経験があれば、それをどういうふうに乗り越えたかを含めて、教えていただきたいです。
初めて海外に行って学校に行ったとき、「なんで私、あんなに日本で勉強頑張ったのに、話せないんだろう」と、とても焦りました。
英語は自分が頑張ってやってきたことだったし、日本の学校での成績は良かったので自分はできる!と思ったのに、世界レベルで見たら最悪だったみたいな感じでした。学校のトイレで泣いたりとかもしてました。
でも、その経験もいいんじゃないかなって思います。そういった挫折経験から「自分英語力足りないな」とか「これ言えないな」と思いつつ「どうやってやればいいんだろう?」と考え始めるのだと思います。
本当に悔しいって思いも勉強の一部だし、そこでやめたら終わりです。だから、ただ積み上げていくしかないんじゃないかなと思っています。英語学習で、これやったら絶対伸びるっていうのは無いと思うんです。
1日1個でもいいから改善していく。そうすれば、1年で365言える事が増えます。諦めないで、日々改善して挑戦していくのは、すごい大事だと思います。
日本人の方で英語を話せる人っていうのは、諦めないで続けた人だと思います。
英語は完璧に話せなくてもいい
ーーオーストラリアに行く前と行った後で、英語に関して変わった自分の価値観とかがあれば、お聞きしたいです。
日本で英語を勉強すると、ネイティブのお手本の音声は、アメリカ英語とイギリス英語二つが多いと思います。
でも実は、英語っていろんな種類があるんです。オーストラリア人でも、アジアのルーツがあったり、ヨーロッパのルーツがあったりする方の英語は少し違います。
アクセントがどうだとか、この発音はどうだって。そんな風に、すごく頭が固くなっちゃうかもしれませんが、オーストラリアにいろんな国の人がたくさんいるように、英語もたくさんあることに気がつきました
それで自分の英語に自信がついたら、完璧に話せなくてもいいと思います。
そういう人たちが実にたくさんいるので、それは、オーストラリアで大きく変わった価値観かなと思います。
自分も認める周りも認める
ーー英語以外に、人生観や考え方で変化した部分はありますか?
これは私のオーストラリア人の親友がかけてくれた言葉なのですが、
"Your feeling is valid."
これをオーストラリアで学んだ気がして...日本語に訳すのがちょっと難しいんですが。
*編集注:あえて訳すと「あなたの気持ちはもっともだ」「あなたの感覚は正しい」的な意味みたいです。
例えば、ちょっと悲しくなって泣いてしまった時に「何泣いてるんだ!そんなちっちゃなことで!」っていうカルチャーが日本にはあると思うんです。あとは、はぁ〜辛いなぁ、大変だなぁって思った時に「こんなことでめげるな!」なんて、言われたり。
でも、「こんなこと」というのは、人の基準であって、自分の基準じゃない。周りが平気だからって、自分も平気でいなくちゃいけないわけではない。
「みんなはこれくらいできるよ」「周りはこんなの気にしないよ」とかよく聞きますよね。
一人一人感じ方は違って当然。だから怒っても、泣いても、喜んでも、どんな気持ちになってもYour feeling is valid.それで良いんです。
自分だけじゃなくて、周りの気持ちももちろんValidです。その精神を尊重することは大事ですね。
様々なカルチャーの人たちに囲まれたからこそ、文化だけじゃなくて、感じ方や気持ちも多種多様なんだよってオーストラリア生活は教えてくれました。
気持ちに素直に
だからしんどい時は私は「しんどいわぁ」って普通に周りにいいますし、嬉しい時は普通に「嬉しい!」って表現します。申し訳ない、とか思わなくていいんです。
そうすると、自己肯定とか自分軸とかそういうのを考えず、普通に自分のことを認められるようになったし、周りのことも自然と認められるようになったと思います。
というか、良い意味で周りのことはどうでもいい!笑
日本は周りとの協調性がすごく大事にされます。それはそれで素晴らしいことなのだけれども、「同じになる」ことと、「協調(ハーモニー)を大事にすること」は違います。
そんな意味でも、
"Your feeling is valid."
"Anyone's feeling is valid"
の精神でいくとうまくいくのかなぁって。
英語を学ぶ、その先へ
ーーこういう人に私の発信が届いてほしい。というのはありますか。
私がこの英語系のチャンネルをやってて届いてほしいのは、英語を学びたい人というよりも、英語を使って何か活躍したいとか、何かいろんなことに挑戦したいっていう人たちです。
英語のテクニックより、英語を使ってどうやってより良い人生にするかを考えるコミュニティにしたいです。
例えばTOEFLとかTOEICの点数を上げたい人だけだったら、私のチャンネルはおすすめしないし、もっと適したチャンネルがあると思います。
英語の何かルールとかをシェアしたいんじゃなくて、その英語の楽しさだったり、その多様性などを伝えたいなって思うし、それをわかってくれる人たちに聞いてほしいなって想いがあります。
英語を道具や手段にする。そんな人やさらにその先を目指してる人たちに届いてほしいです。
これからの目標
ーーYouTubeでの発信者として今後やってみたいことはありますか?
英語だけじゃなくて、やっぱり例えばライフスタイルとか、せっかく海外生活してるから海外生活で学んだ価値観とかを伝えていきたいです。
私は、芸能人じゃないので私の私生活とか気にしてくれる人はいないんですけど、でもそういうふうにもっと自分らしさとか、自分の英語に関係ない自分の考えとか、ライフスタイルもシェアできたらなと思います!
[ 文:隅田愛莉 / 編集:吉中智哉]
[デザイン:石橋天知]
次回:Chinatsuさんキャリア論まとめ(作成中)