#1 小さい頃からの夢を叶えてテレビ局に入社。制作から見えてきた「バラエティ番組の魅力」
娯楽の王様といえばテレビ番組。
大コンテンツ時代を迎え、そんな時代は終わってしまうのかもしれません。
しかし、テレビのゴールデンタイム(19~22時)は視聴率10%超える番組も多く、1000万人以上の日本国民が同じテレビ番組を見ていることも事実です。
取り上げられたお店には長蛇の列ができ、商品は即日完売。
マスメディアとして、依然圧倒的な影響力を持つテレビ局。
そんなテレビ局で働く社員の方に、匿名を条件にぶっちゃけ本音トークを伺いました!
【中野さん】都内私立大学卒業後、新卒で在局キー局に入社。現在はバラエティ班でディレクターを務める。
目次
テレビ局に入社したキッカケ
ーテレビ局に就職した経緯を教えてください。
気がついたらテレビが好きで、小さい頃の夢は「*マジカル頭脳パワー」のスタッフになることでした。
*日本テレビ系列で1990年~1999年に放送されていたクイズ番組
それで大学1年生の時に、「テレビ業界って採用とかめちゃめちゃ難しいから、テレビ局のバイトやろう!」と思い、アルバイトを始めました。偶然ですが、それ後に就職する会社です。
バイトしながらテレビ局への意識を高めて、採用試験を受けたら就職できました。
物心ついたときから、テレビが好きで、憧れの業界でした。仕事も楽しいしですし、入社できて良かったと今でも思っています。
入社直後は不遇な配属
-テレビ局に入って最初の配属は営業とのことですが、どんなことをやっていましたか?
皆さんは知らないかもしれませんが、実はテレビ局にも営業があります。
テレビの営業は「CMの枠を買ってください」と売り込む仕事。電通や博報堂みたいな広告代理店が入ることもありますが、そうじゃない場合もあります。
正直、営業部への配属は不満でした。
学生時代に映像制作・バラエティ制作みたいなのをやっていて、自分でいうのも恥ずかしいですが、その中では結果も出していました。
「この勢いでテレビ作るぞ!」と思って入社したのに、配属されたのは営業。
気持ちはギラギラだったんで「何で営業?スーツ嫌でテレビ業界入ったのに、結局着るんかい!!」みたいな。笑
いつ制作に行けるんだろう?って日々くすぶってました。
多くを学んだ営業時代
-希望の配属ではなかったわけですが、大丈夫だったんですか?
最初は嫌でしたが、先輩方がとても優しい人たちばかりで、振り返ればめちゃめちゃいい経験でした。
後に分かるんですが、テレビ制作の現場って一般社会と少し異なります。どちらかというと職人さんの現場って感じで、それぞれが何かしらのプロの集団です。
そこからキャリアが始まってたら、今みたいにテレビの仕事を俯瞰できなかったし、ビジネスマナーも身に付かなかったと思います。
テレビ局員は番組だけではなく、その前と後も考えなければいけません。
スポンサーがどんなものを求めていているか、どんなふうに届けたらみんなが見てくれるか、そんなコンテンツ外のことも考えながら働くことが社員には期待されています。
営業部にいた数年間で、仕事の流れや人との関わり方、大人としてビジネススキルをキチンと学ぶことができました。この経験はすごく良かったです。
大企業に総合職で採用される意味
今いるところが嫌でも、引いて見たら「必要だった」と思うことが、人生にはたくさんあります。
配属に関しても同じで、どんな会社でも起こりえます。
例えば、セブンイレブン。ほとんどは開発や営業など本社のデスク志望で入社しますが、入社数年間は必ずコンビニの店員さんとして現場で働くそうです。きちんと現場経験を経ないと、出世して管理者になったとき何も分からないからです。
建築会社や工務店さんでも、現場監督みたいな名目で幹部候補は下積みを数年経験します。
先に現場を体験したり、逆に社会人としての経験を積んでから現場に行ったり、そういう配属はどの会社でも必ずあります。
一般職と総合職で採用が別れている会社がありますが、総合職に求められるのは、「会社全体の流れ」や「他部署との連携」を考えること。
将来的に期待される働きが異なるので、とうぜん経験するキャリアも変わっていきます。
バラエティ番組を作る面白さ
ディレクターはなんでもやる
-現在はバラエティー制作でディレクターをしているとのことですが、具体的にどんなお仕事をされてるんですか?
バラエティのディレクターは、自分で番組の台本を書き、撮影の現場を仕切ります。収録が終わったらパソコンを使って編集をする。つまり、全部やります。
最終的な編集はテレビ局内にいる編集マンにお願いしますが、画の順番やナレーションのタイミングをディレクターが編集しておきます。
編集ではテロップを入れるのが特に大変で、自分でやると他の仕事に支障がでるので、プロの方達にお願いしています。
ざっくり言うと、ディレクターが映像の土台を作って、テロップや絵の加工は編集マンに任せる感じです。
ぼくらの日常はみんなの努力でできている
ーバラエティ制作の面白さや醍醐味について教えてください
バラエティの制作って「世の中のいいところを広める」ことだと考えています。
特定の観点、一定の切り口で世間を切り取る。
これでバラエティのほとんど全部を説明できます。
「がっちりマンデー」は「儲かる事」の観点で、 「カンブリア宮殿」は「成功した社長」の視点で、 「激レアさんを連れてきた」なら「激レアな人の人生」を切り口に世の中を切り取る。
情報バラエティなら、「開発者の情熱」で切り取ったりするわけです。この商品はこんだけ美味しくて、こんなに苦労して開発したんです!みたいな。
それを見た後だと、コンビニに並んでる商品を見ただけでも「あの人が苦労して開発した商品だ!」って世界の見方がちょっと変わります。
iPhone とかパソコンとか、世界は便利なもので溢れてるけど、全て誰かが頑張って作ったものだと思うと、世の中っていいなって。
僕たちの日常はみんなの努力でできてる、そんなふうに思うんです。
自分たちが当たり前のように使ってるものは、誰かがめちゃめちゃ考えて、汗水垂らしながら作ったもの。
僕らは上澄みだけ享受してるけど、よくよく考えればそれってすごいことです。
バラエティ制作をずっと続けたい
ー仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?
バラエティやっていると、フィクションみたいな人間ドラマに遭遇することがあります。
ドラマみたいな葛藤や対立、偶然や幸運。それを目の当たりにして作品にできた時は、すごく達成感を感じます。
それから、自分が作った番組が誰かに影響を与えた時です。「自分、世の中にに貢献してるな」って感じます。
「感動しました!」とか「あのコーナーすごく面白かったです!」とか、「〇〇を取り上げてくれてありがとうございます!」みたいなことを言われるのは、すごく嬉しいです。
-これからやりたいこと、やろうとしてることはありますか?
今後は「日本を盛り上げること」「日本を良くすること」をバラエティで実現したいです。
バラエティー制作はめちゃめちゃ面白いんで、ここで骨を埋めたいと思っています。
-バラエティ制作の魅力をたくさん教えていただいてありがとうございます!ちなみに、ドラマ制作の魅力も知っていたら教えてください。
ドラマ班の同期や先輩から聞いた話ですが、ドラマ制作の一番のやりがいは...。
中野さんの記事まとめはこちら↓
[文:ことね / 編集:吉中智哉]