#1 フードロス削減を目指す会社クラダシって何やってるの?
「日本で最もフードロスを削減する会社」というビジョンを掲げる株式会社クラダシ。
設立から現在までの経緯、強みについて広報の小平さんに伺いました!
【株式会社クラダシ 広報 小平佳鈴】
台湾の大学を卒業後、フードロスと飢餓の解決に携わる仕事をしたいと思い、株式会社クラダシに新卒入社。
現在は、クラダシ基金の運営、広報、事業開発の3つの部署を兼務中。
目次
クラダシが誕生した2つの背景
ーー会社の設立の背景について教えてください。
クラダシは2014年7月に設立されました。設立の背景として代表取締役社長の関藤の2つの原体験があります。
1つ目が、阪神淡路大震災の際に感じた1人の力の限界です。彼自身が大学4年生のときに被災をしているんですが、自身も被災しながらもバックパックに荷物を詰めて救援活動に向かいました。
1日かけて支援を行ったものの、1人で及ぼすことのできる影響力の小ささを実感して、「社会課題を解決するためにはもっと多くの人を巻き込めるような仕組みを作らなければ!」と思ったそうです。
2つ目が、大学卒業後入社した商社で中国に駐在し、大量生産大量廃棄を目の当たりにしたことです。
当時、”世界の工場”と呼ばれていた中国で、大量生産・大量廃棄を目の当たりにして、これはいずれ環境面でも大きな社会課題になるんじゃないかと危機感を覚えました。
食の課題は私達の生活と切っても切り離せないので、それを解決できる仕組みを作ろうと思った。
この2つがクラダシが誕生した背景です。
フードロスを解決するためのECサイト「Kuradashi」
ーーフードロスの解決を目指すとのことですが、具体的にどんな事業を行っていますか?
フードロス削減を目指し、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」というECサイトを運営しています。
「Kuradashi」では、メーカー・商社・卸小売などからまだ食べられるにもかかわらず通常の流通ルートでは販売が難しくなった商品を買い取り、お客さまにお得に販売をしています。
また、売り上げの1〜5%を社会貢献活動の支援に充てています。このスキームは設立当初から変わらず、楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを目指しています。
過去にはウクライナの緊急支援やトルコ・シリア大地震緊急支援などを行ったこともあります。
クラダシ成長の背景
ーー創業時は何人で事業を始めましたか?
創業当時は関藤がほぼ1人で始めて、そこから数年は数名のメンバーで事業を行っている状況でした。2年半前に私が入社したときもまだ20名弱の組織でした。
現在は社員数が約40名。アルバイトやインターン生を含めて約70名の規模になりました。
コロナ禍とSDGs
事業を伸ばしていくためにはやっぱり人手が必要ということ、上場を見据えて組織を拡大していきたいという想いが重なり、採用も徐々に加速させました。
そのタイミングでコロナ禍が起こり、世間的にもSDGsへの関心が高まったこともあり、事業の成績も伸びてきました。
コロナ禍をきっかけにで外出を控える方が増え、飲食店に卸せなくなって在庫を抱えるメーカーが増えていました。
一般的に洋服や日用品などの商品はEC化率が進んでいますが、野菜やお肉など、生鮮食品などに関してはスーパーで実物を見てから買いたい方が以前は多かったのです。
それが、コロナ禍でスーパーもオンライン化されたことによって、食品をECサイトで購入するという消費者のハードルが下がっていきました。
商品の背景を説明
クラダシが成長するには、賛同してくださるパートナー企業さまと、使ってくださるユーザーさまを増やしていくという2軸があります。
「Kuradashi」では賞味期限が近い商品や、規格外や、ラベルに傷がついている商品などを取り扱っているので、なぜお得に販売されているのか出品の理由など、それらの背景をきちんとサイト上に明示し、理解していただいた上で商品をご購入いただいています。
ただ商品を販売するだけでなく、出品されている商品がロスになってしまった要因もお伝えすることで、フードロスという課題についての認知・理解を広げていくことも目指しています。
フードロスに対してできること
ーー学生がフードロスに対してできることはあるのでしょうか?
私はサステナビリティ推進室に所属していて、クラダシ基金という基金の運営も担当しています。
クラダシ基金とは、クラダシ自らが社会貢献活動を行うために創設した基金で、
- フードバンク支援事業
- 地方創生事業
- 教育事業
- 食のサステナビリティ研究会
という4つの軸で活動しています。特に地方創生事業と教育事業では、大学生とも密接に関わっています。
飲食店や小売店でのバイト経験をきっかけに、「こんなに捨ててるんだ…。」と衝撃を受けてフードロスに興味を持つ大学生が多くいるようです。
そういった、「自分も何かしたい!」と思っている方々が興味を持ってくださるのが、地方創生事業として展開している社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」、通称「クラチャレ」です。
社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」
クラチャレは、作物がなったけれども、高齢化や後継者不足で収穫することができずに畑でロスになってしまう「未収穫ロス」の解決を目指して始まった取り組みです。
フードロスや社会課題に興味関心の高い大学生が実際に地域や農家を訪れ、収穫をはじめとした一次産業の支援や役場の方との意見交換、現地観光を行います。
課題があることについても知ってもらう。実際に自分たちが収穫することで労働力になる。それらの自分たちが実際に行って感じた魅力を発信してもらって、関係人口を増やしていこうという取り組みです。
大学生が現地に行くときの旅費、交通費や現地での食費、滞在費をクラダシ基金から拠出して、学生は自己負担なく参加できる取り組みになっています。
先の質問にお答えすると、クラチャレに参加して、実際に自分の目で感じるのが良いと思います。そして、それに対して自分なりの考えを発信するだけでも全然違います。
日常の中でできること
日常生活でできることとなると、「今日使うものだったら賞味期限が短くてもいいよね」とか「割引になったものを買おう」とか、そういうところからできると思います。
大学生だからこれをというよりも、みんなが日常生活の中で気軽にできることからやってみるのが一番大事かなと思います。
少しでも自分にできることないか考え、行動に移すところから取り組んでいただけるといいなと思います。
オフライン店舗の強みとは
ーーオンラインだけではなく、オフラインの実店舗もあると伺いました。
たまプラーザ テラスと木更津アウトレットに隣接している「KISARAZU CONCEPT STORE」内で常設店舗も展開しています。
クラダシのメイン事業はECサイトであるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」ですが、元から知っていたり、調べるきっかけがないとサイトまでたどり着いてもらえないんです。
一方で、オフラインというリアルな場だと、偶然の出会いがあります。
過去に駅構内や商業施設などでポップアップショップを展開していた時も、たまたま通りかかった方に「この商品なんでこんなに安いの?」「フードロスって何?」といったような反応をいただくこともありました。
フードロスやクラダシについて、通りがかりの方にも知っていただけるのがオフラインで展開する強みです。
おトクにお買い物を楽しみながら、SDGsの目標達成のために何ができるか考え、行動してみる機会を提供したいという想いから、2023年の5月に常設店舗をオープンいたしました。
ポップアップを展開した際の反響が良かったこと、たまプラーザの方々のサステナブルに関する意識が高いこと、たまプラーザテラスを運営されている東急モールズデベロップメントのビジョンと親和性が高いことなどを理由に、たまプラーザテラスに出店することになりました。
[ 文:東濱理沙 / 編集:はる]
[撮影:梨本和成 / デザイン:舩越英資 ]
競合他社との差別化
ーー日本でどのようにしてソーシャルグッドな事業を成功させていくか、クラダシならではの戦略があれば教えてください。
そうですね、弊社代表の関藤が大切にしているのが「〇〇」という考えです...(#2へ続く)