#3 教師は大変?ならない方がいい?これから教育業界に向かういくあなたへ伝えたいこと
無駄な会議、目的のわからないミーティング。
社会人だけではなく、私たち学生にとっても身近な話です。
「私たちは話し合いのやり方を勉強したことがない」と前回言われ、確かにそうだなと思いました。
人間社会に欠かせないコミュニケーション。でもそのやり方を体系的に学ぶことはありません。
そんなわけでは、あるべき話し合いのあり方を奈良さんに教えてもらいました!
【奈良理香(ならりか)】
宮城教育大学教育学部卒業後,教育公務員(小学校)として25年間従事。現在はファシリテーターとして企業研修や研修コーディネーターを務める。また、国家資格キャリアコンサルタントとしてミドルシニアのキャリア支援や学生の就活支援なども行う。
人生の節目でキャリアについて考える
ーー大学生や若年層向けてキャリアに関するアドバイスをお願いします!
私自身、最初のキャリアチェンジや、その後の勉強会などで、何度も自分のキャリアについて考えました。
学生のときだけではなく、大人になってからも、社会人になってからも、自分がどんな人生を歩みたいのか、定期的に振り返ったり考えたりする機会を作ってください。
1回目の就職が全てじゃない。
大学生の最後の出口が就職だと考えると、確かに就職活動ってすごく大事だし大変。
就職活動をすると「自分って本当は何をしたいのかな?」って揺さぶられると思います。
でもそこがゴールでもないし、就職先でどう自分を生かしていくかの方が大事。
目の前にあるできることを一生懸命やったら道が開けたりするので、自分が何したいのかなんて浮かばなくても心配する必要はない。
こんなことしてて意味あるのかな?って思うときもあるかもしれないけど、目の前にあることを一生懸命やった時に見えてくるものもある。
他人軸ではなく自分軸で生きよう
人は人、自分は自分だから、人と自分を比べない。
あの人にはあの人の人生がある。
学校生活は、どうしても同質性が高い。
その同質性の中で、選択肢がたくさんあって、大量の情報が入ってくる。
先輩がこういう道を歩んでる、友達はあの道を歩もうとしている、とか。
でもやっぱり人の軸じゃなくて、自分はどう歩みたいか、自分の軸を大事にする。
自分軸を貫いていると、ぶつかることもあるし、他人からいろいろ言われたりすることもある。
でもその声に従って他人軸で生きてても、結局後悔するのは自分。
自分がやりたいと思うこと。心から願うことをやってください。
教育志望の大学生へ向けて
ーーそもそも小学校の先生になりたいって思ったのはどうしてですか?
こんなに素晴らしい仕事はないと思いました。
教員養成系の大学に入学して、大学3年と4年で教育実習がありましたが、そこでの経験は今だにかけがえのない思い出です。
鮮明に覚えていて、今でもキラキラした思い出。すごく強烈な体験だったんです。
「働くってこういうことか」
「お給料もらいながら、こどもたちと毎日接してお話して、成長に一寄り添っていける仕事って素晴らしい…!」
そんな風に思いました。
こどもたちと一緒に一生懸命考えて、生み出して。仕事を通して自分自身も成長できると思いました。
ーー中学や高校もあるなかで、小学校教員を選んだ理由はなんですか?
確かに中学高校の国語の免許も取りました。
でも、実習に行った結果、小学校が一番面白かった。こどもたちの訳のわからなさが笑
それから、いろんな教科を教えられる面白さ。教科が多くて大変だとも言われてますが、それ以上に面白そうだなと思いました。
働く上で1番大切なこと
ーー教職へのネガティブなイメージもありますが、これから教員になりたい人にアドバイスはありますか?
一番は、心身ともに健康であること。
教師に限らず、どの仕事も自分が安定していられるかがすごく大事。
学校も高齢化してて、退職年齢も徐々に上がってきている。
今働き始めると65歳、もしかしたら70歳近くまで定年退職が延長されていて、ほぼ生涯働くことになるかもしれない。
自分の健康を保ちながら、どう仕事と関わっていくかってことを考えていかないと、70歳とか65歳まで持たない笑
昔は60歳まで働いたら、あとは余暇をゆっくり楽しめると思って一生懸命頑張れたけど、もうそういう時代じゃなくなってる。
だからこそ今を大切に。
「もう少し後でもいいや」じゃなくて、今楽しみたいと思ったことや仕事を大事にしてほしいです。
心や体の声にも耳を傾ける
多くの先生たちがやってる働き方で働かなくてもいいんだよ、って知ってほしい。
集団に入ってしまうと、そこに合わせようと頑張ると思います。でも、無理を続ければ、心身ともに限界がきてしまいます。
心の声というか、直感というか、そういうのを信じて全然大丈夫だと思います。
現役の先生こそ、本当の意味でライフ要素4Lのバランスを見直してみるといいし、どういう軸を持って仕事をしたいのかを考えたらいいと思っています。
落ち着いて考える余裕がないと思いますが、ライフステージは変わっていくものだから
編集後記
インタビューを通じて、子どもたちはもちろんのこと、周りの人たちの事を本当によく考えてる方なのが伝わってきました。
献身が求められそうな学校教育の中で、心身の健康を優先すべきとの提言が非常に新鮮でした。ご自身のキャリアチェンジの際も迷いや葛藤はあったと思いますが、そこを経たからこその説得力のあるお話、ありがとうございました!
▼奈良先生のキャリア論まとめはこちら
[文:ことね / 編集:吉中智哉]