#2 会議が全然進まない!無意味なミーティングが多い!良い会議を生み出すために必要なことを話し合いのプロに聞いてみた
無駄な会議、目的のわからないミーティング。
社会人だけではなく、私たち学生にとっても身近な話です。
「私たちは話し合いのやり方を勉強したことがない」と前回言われ、確かにそうだなと思いました。
人間社会に欠かせないコミュニケーション。でもそのやり方を体系的に学ぶことはありません。
そんなわけでは、あるべき話し合いのあり方を奈良さんに教えてもらいました!
*この記事は"#1 教師生活25年目での退職!私が教員からキャリアチェンジしたワケ"の続きです。 |
【奈良理香(ならりか)】
宮城教育大学教育学部卒業後,教育公務員(小学校)として25年間従事。現在はファシリテーターとして企業研修や研修コーディネーターを務める。また、国家資格キャリアコンサルタントとしてミドルシニアのキャリア支援や学生の就活支援なども行う。
目次
良い話し合いとは何か?
ーーレゴ®️シリアスプレイ®️を知ったキッカケはなんですか?
知り合いでレゴ®️シリアスプレイ®️を使ったワークショップをしてる人がいて、「なんだろう?」と思って申し込んだのがキッカケです。
私自身がワークショップ体験に参加して「これできるようになりたい!」って思いました。
学んでみたら、ものすごく奥が深い。
レゴ®️で遊びながらただ喋るわけではなく、ものすごい理論や人間に対する愛が溢れているメソッド。
当時教員だったので、これを学校や生徒向けに、特に教職員向けに提供できるようになりたいと思いました。
意味ある話し合いに欠かせないモノ
ーー会議やミーティングのメソッドに会議的な方もいますが...
ネガティブな反応をする人は、まず圧倒的に良い話し合いの体験がないんだと思います。
意見が全然出なくてシーンとしてる会議の司会をしなきゃいけない、特定の人ばかりがワーッと喋っているのを聞かされるだけの会議に参加させられている。
そういう経験しかないと「話し合っても無駄」「どうせ上司が答えを持っているから話す必要はない」と思ってしまう。
会議やミーティングって合意を取る役割もあるけど、大事なのは話し合った結果を元にアクションを取ること。
会議で決まったけど、その後動き出さないのはコミットメントが得られていない。要は納得していない。
大人こそ話し合いの学び直しが必要で、やり直すことによって成果を出している人たちがいっぱいいます。
話し合いのスキルがあると、世の中から意味のない会議がなくなっていくんです。
参加メンバーの気づきとコミットメント
ーーレゴ®️シリアスプレイ®️の良さを簡単に説明するとしたらどこですか?
チームのメンバーの1人1人に気づきが得られることです。
「自分も参加できた」
「自分も話すことができた」
「自分の話も聞いてもらえたし、あなたの話も理解できた」
こういう経験を積み重ねることによって、自信が持てるようになる。
自分も話していいし、あなたも話していい。
その上でじゃあどうする?って考え合うプロセスを重ねることによって、自然とチームビルディングができる。
レゴ®︎シリアスプレー®︎の中にはチームビルディングのプロセスが含まれている。だから、チームビルディングにもなって、コミットメントも得られる話し合いになる。
動く会議と動かない会議の違いは、最後に決めて終わりか、決めた先に動いていくか。そこがポイント。
知ってるつもりのメンバーでも新しい発見がある
レゴ®︎シリアスプレイ®︎は初めましてのメンバーにも良いですが、基本的な人間関係が構築されているチームの方が効果的です。
やっぱり、いつも雑談とかしているはずでも、チームのことを知ってるようで知らなかったことがいっぱい出てきます。
親しみをますます感じたり、見方が変わったり、そういうのはすごくあります。自分のことも知ってるようで知らない自分を発見できたりします。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎が上手く機能するために
ーーこれまでやってきたレゴシリアスプレーのワークショップの中で「これはちょっと難しかったな」みたいな回はありましたか?
リアルチームや組織でやるときは、どうしてもそのチームに元々ある上下関係が妨げになって発言がうまく出ないことがあります。
でもそうは言っても、全員が同じぐらいの時間を使って話しをするので、意外な発見があることがあります。
経験がある先輩よりも、駆け出しの若い社員さんの方がものすごくいいことを考えていたり、本質を突くことをちゃんと理解してたり。
平等の場をつくることによって、若いメンバーが若い感性で感じてることを、素直に喋って、先輩や上司の見方が変わったりする。
それはレゴシリアスプレイじゃなかったら出てこないと思うんです。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎が得意なこと
ただ、レゴシリアスプレイ®︎は何でも話し合えるわけじゃないんです。
売上を上げるためにどうするか?などの具体的な話し合いには向きませんが、チームのこれからのビジョンやミッションなど抽象的な話し合いにはすごく向いています。
心理的安全をどう担保するか
ーー心理的安全性が担保されてるチームの方が議論が活発になる傾向がありますか?
そうですね、意見を出した後、それがどう扱われるか不安だと人は意見を出さなくなります。
否定されるとか、キャリアのはしごを外されるとか。そういう恐れがあったら絶対に言わないじゃないですか笑
だから、ワークショップを提供するときは、きちんとヒアリングをして、そういったことも含めて何を話し合うか相談します。
レゴ®︎シリアスプレイ®︎の始め方
ーー例えば、自分の所属する組織でレゴ®︎シリアスプレイ®︎をやりたいってなった時に何から始めたらいいですか?
公開ワークショップがあれば、そこに参加するのがいいと思います。
まずは「体験を通して人が変わっていく」を経験してほしい。
人は誰でも潜在能力を持っていて、ファシリテーションで場を整えることによって発揮されると信じています。
全てが質が良いワークショップかどうかまでは保証できませんが、「レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドと教材を活用したワークショップ」を名乗ってるところは修了認定を取得したファシリテーターがやってるはずなので、そこを目印にするといいと思います。
レゴの写真だけ使ってそれっぽく見せてるだけの人たちもいるので、そこは注意してください。
私のやっているワークショップに参加したいって人は、一旦連絡ください!笑
編集注:奈良理香さんへのお問い合わせはこちら(rika*seriousplay.jp)まで。*を@に変換してください。
いまファシリテーターが求められるワケ
ーーいままでどんなところでワークショップをしてきましたか?
企業研修なども依頼もありますが、私は学校教員が背景にあるので、学校関係の繋がりからの依頼が多いです。
ーー依頼をする人たちは、現場を改善したいという気持ちから依頼する?
そうですね。
「もっといい話し合いをしたい!」「今までと違う方法を試してみたい」と思ってる人たちが沢山いる。
話し合いの場では、組織の一員がファシリテーターをすると、中立を保つためにその人は発言できないんです。
だから外部からファシリテーターを呼ぶことで、本当にニュートラルな場で全員参加ができる。
そういう認知がだんだん広まってきて、外部ファシリテーターとして声をかけてもらうことが増えてきています。
ーー研修講師をやっていて、一番やりがいを感じる瞬間はいつですか?
人が変わっていく瞬間に立ち会える時。
子どもだけじゃなくて、大人も変わる。間違いないです。
次回予告:人生の節目でキャリアについて考える
ーー大学生や若年層向けてキャリアに関するアドバイスをお願いします!
大学生の最後の出口が就職だと考えると、確かに就職活動ってすごく大事だし大変。
就職活動をすると「自分って本当は何をしたいのかな?」って揺さぶられると思います。
でもそこがゴールでもないし、〇〇の方が大事…
▼奈良先生のキャリア論まとめはこちら
[文:ことね / 編集:吉中智哉]