#1 教師生活25年目での退職!私が教員からキャリアチェンジしたワケ

教師不足や教師のバトン問題が話題になるように、何かと注目されがちな教育業界。

何かとネガティブな話題が多いですが、文科省のデータを見れみると、教員の総数は横ばいで大きく変わったわけではありません。

今も昔も、一定の人気と需要があり続ける教員公務員。

そんな教育公務員を25年経験し、キャリアチェンジを図った奈良さんの話をご紹介します。

【奈良理香(ならりか)】

宮城教育大学教育学部卒業後,教育公務員(小学校)として25年間従事。現在はファシリテーターとして企業研修や研修コーディネーターを務める。また、国家資格キャリアコンサルタントとしてミドルシニアのキャリア支援や学生の就活支援なども行う。

組織開発とファリシテーション

ーー学校の先生を辞めて現在は研修講師とのことですが、普段はどんなことをされているんですか?

レゴ®️シリアスプレイ®️を使ったワークショップを行ったり、企業研修をしたりしています。

レゴ®️シリアスプレイ®️:レゴ®を使ったコミュニケーションメソッド。ワークを通じて、自己との対話や組織内のコミュニケーションを促す効果が期待できる。

ベースにあるのはファシリテーションで、そのファシリテーションの根っこにあるのが組織開発です。

ファシリテーション:話し合いがスムーズに進むようにするための技術や方法。

組織開発とは何か?

人が複数集まってチームや集団組織になっていったとき、コミュニケーションのエラーだったり、世代の違いや背景の違いによって対立が生まれます。

チームや組織の一員であるならば、トップの言うことに従って粛々とやるっていう側面も必要とされます。

一方で、自分たちの持っている知性や感性を生かすことによって、もっとクリエイティブで創造的な選択ができるんじゃないかとも思います。

建設的な話し合いのためにファシリテーションは必要だし、ファシリテーターがいることによって、話し合いをもっと前に進めることができる。

それで、ファシリテーションをベースに研修をしているっていう感じです。

教師生活から見えてきた話し合いの重要性

ーー元々は公立小学校の先生だったとのことですが、研修講師として独立したきっかけを教えてください。

25年ほど、公立小学校のいわゆる教育公務員という立場で教員をしていました。

学校の先生も楽しかったし、学ぶことも多くて毎日充実してました。

教師でもあり1人の職員でもある

担任になると、学級という集団を預かり、集団を育てて、その中で個人を育てていくミッションがあります。

しかし、ひとたび学校の組織の一員と考えたときに、職員室は教員からなる組織なわけです。

働いていく中で、ここをどうにかしていかないといけないという思いが高まってきました。

学級活動を充実させたい

私は「学級活動」にすごく力点を置いている教師でした。週に1回、年間で35時間しかない貴重な時間です。

その時間で、クラスの中でいかに話し合いが生まれるか、相互に理解するか、小学校生活を自分たちで楽しめるようにできるか、そういう場を作りたかった。

残念な会議とファシリテーションとの出会い

実際に経験を積んでいく中で、学級はもちろん、大人の話し合いも残念なことに気がつきました。

学校長など管理職クラスの人たちでも、実は話し合いについてのノウハウをあまり理解してない。

子ども達に対して話合い活動を指導している教員が、そもそもの前提をよくわかってない。話し合いのノウハウや技能について知らない問題に直面しました。

この原体験が今の私を作っています。

決して先生達を責めたいわけではなく、話し合いをする機会や話し合いについて教わる機会がないことが原因だと思います

そんな体験から、私は会議の世界に足を踏み入れました。

そこでファシリテーションに出会い、学校の中に導入する取り組みをしていきました。

そんな風にファシリテーションを勉強していく中で、レゴ®︎シリアスプレイ®︎に出会います。

建設的な話し合いをする2つの方法

私の今の考えとしては、レゴ®︎シリアスプレイ®︎とホワイトボード・ミーティング®︎は両輪だなと考えています。

ホワイト・ボードミーティング®︎:ホワイトボードを活用した効率的で効果的な会議の方法。話題を可視化しながら全員で話し合いを進めることができるのが特徴。

レゴシリアスプレイは、どうしても時間がかかるんです!

ある程度まとまった時間や道具が必要で。その代わり、自分が言葉にできない思いや考えがものがすごく出てきます

全員が必ずアウトプットをして、それを参加者全員で聞く。そういった前のめりな会議を実現するためには、やっぱりこれが一番良い。

しかし、どうしても短時間で行うことはできないんですよね。

だから、日常のコミュニケーションを整える、時間があまりない中でも建設的に話し合うためには、ホワイトボード・ミーティング®︎をやるのが大事だなって思います。

教員生活の後半は、その2つの良いところを取り入れられないか懸命に模索していました。

人生の転機とキャリアの棚卸し

そんな中で、プライベートでも大きな変化がありました。

パートナーの存在です。

ずっと、人生全て仕事一直線!みたいな感じの教師人生を歩んでいました。教師の仕事や学び、あとは少しの趣味。

そして私の1日、1ヶ月、1年が過ぎ去っていました。

パートナーとの生活の中で「あれ、これでいいのかな?」って思うようになったんです。

一度立ち止まって人生を振り返る

学校の仕事は充実してて楽しかったし、やりがいも感じられた。

子どもたちが成長する瞬間に立ち会えたり、変化していくのを見られるのは、本当に喜びを感じるし素晴らしいことでした。

ただ、毎日クタクタになって帰宅するんですよね笑

一生懸命やりたいから、ついやりすぎてしまう。人には身体予算みたいなものがあって、メンタルも体も元気な状態には限界がある。オーバーすると無理が出てくる。

せっかくパートナーがいるのに、毎日疲れ果てて帰宅する生活。そんな生活の中で、こんな自分はいやだなって気づいたんです。

「これを続けるのは良くないな、立ち止まってみよう!」って。

それが転機でした。

キャリアのその先を考える

当時、年齢的にもう管理職を目指すことを求められてる世代で、学校の中でのキャリアシフトを考える時期でした。

学級担任から管理職へ進むかどうか

教頭先生を目指すなら、朝イチから最後まで学校に残らなきゃいけない感じ。側から見てるだけでも、教頭先生って大変そう。

やりなさいって言われたら、イエスって言うと思うけど、そこの道に入ったら、今以上に忙しくなる。

家族を大事にする生活は、私の場合は手にできないと思った。

人生って仕事だけじゃなくて、ライフキャリアも大事。

ライフキャリアは4つのL

ライフキャリアには4つのLがあるって言われてます。仕事、愛、学び、余暇の4つです。

ライフキャリアの4つのL

  • Labor(仕事)
  • Love(愛)
  • Learning(学習)
  • Leisure(余暇)

その4L理論を自分に当てはめたら、バランスめちゃくちゃだってことに気づいたんです笑

ここまで一生懸命やってきたし、ちょっと少し自分のワークライフバランスを整えてみるのもいいかなって思いました。

私が教員を辞められた訳

自分が死ぬときに「これで良かった!」って思える人生を歩むためには、ちょっと見直しが必要だなって思ったのが40代中盤ぐらい。

学校のことをしながらも、レゴ®︎シリアスプレイ®︎をもう少し学びたいと思ったとき、公務員を続けながらでは難しかった

学校を頻繁に休むわけにもいかないし、公務員なので報酬を受け取れない。これ以上先伸ばしにしたら、もうチャンスはないんじゃないかなと思いました。

そんなことを考え始めてから、2〜2年半ぐらいして独立することにしました。

ーー誇りややりがいも持って25年勤めてきた教員公務員を辞められたのはなぜですか?

結局免許がある仕事なので、戻りたいタイミングがあれば戻れるんじゃないかと思いました。正規職員と講師でスタイルは違えど、現場に戻ることは可能かなと。

それよりも自分の人生っていつ終わるかわからないでしょう?

だから、後悔がないように、「やりたいと思うことを、やりたいと思ったときにやろう」っていつも思っているんです。

なので、不安や迷い、未練などは無かったです。

独立してからの変化

コロナもあったので単純には比較できませんが、生活が一気に変わりました。

でも、流されてるっていうよりは、何かの流れに導かれるような感じ

次回予告:良い話し合いに必要なもの

ーーファシリテーターや会議のノウハウに懐疑的な人もいると思いますが、そんな人たちに対してどう思われますか?

そういうネガティブな反応をする人は、まず圧倒的に良い話し合いの体験がないんだと思います。

会議やミーティングって合意を取る役割もあるけど、大事なのは話し合った結果を元に◯◯を取ることです...

▼奈良先生のキャリア論まとめはこちら

25年の教員人生を辞めて独立!奈良理香先生のキャリア論まとめ

目次1 第1回:教師生活25年目での退職!私が教員からキャリアチェンジしたワケ2 第2回:会議が全然進まない!無意味なミーティングが多い!良い会議を生み出すために必要…

[文:ことね / 編集:吉中智哉]

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