#2 ソーシャルグッドとビジネスを両立?!クラダシの今後の展望と戦略
ソーシャルグッドとビジネス。同時にできればいいですが、難しいのもまた事実。
「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」をミッションに掲げている株式会社クラダシ。両立のためにどんな実施しているのか?実例込みで教えてもらいました!
【株式会社クラダシ 広報 小平佳鈴】
台湾の大学を卒業後、フードロスと飢餓の解決に携わる仕事をしたいと思い、株式会社クラダシに新卒入社。
現在は、クラダシ基金の運営、広報、事業開発の3つの部署を兼務中。
競合他社との差別化
ーー似たようなサービスをしている企業もありますが、競合他社とどうやって差別化を行っていますか?
会員登録後、マイページに行っていただくと、「あなたのお買い物によるフードロス削減量」、「おにぎりに換算すると何個分」、「お買い物による支援テーマごとの支援金額」を見ることができます。
自分のためのお買い物だったけど、こういう支援に繋がってるんだみたいなところをお客様に感じていただけるのは1つの魅力だと思ってます。
達成感や充実感を感じている方も多く。SNSで「フードロス削減量が何キロになった!」みたいな投稿をされているヘビーユーザーさんもいらっしゃいます。
クラダシの戦略
ーー日本でどのようにしてソーシャルグッドな事業を成功させていくか、クラダシならではの戦略があれば教えてください。
そうですね、弊社代表の関藤が大切にしているのが「社会貢献は押し付けではなく、楽しく気軽に取り組めるものであるべき」という考えです。
クラダシのサービスも「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケット 『Kuradashi』」という名称で運営しています。
「自分が欲しいものを買った。それが気がついたら支援に回ってた」とか、サービスの特性上、商品ラインナップが良く入れ替わるので「宝探しみたいで楽しいです」というお客さまの声をいただいたりします。
そういう楽しみを提供する中で、それによって結果みんなハッピーになった、みたいな世界を創れるといいなと思ってます。
日本だと、寄付やボランティアは自己犠牲の上に成り立つとか、やってる人は意識高い系、みたいに言われることもあります。
でも、全くそんなことないし、フードロスって削減しなきゃいけないですよね。だから使ってください!っていう押しつけじゃなくって、楽しみながら使えるようなところをクラダシとしては目指していきたいなと思っています。
だからこそマイページにはこだわって、「実はあなたのお買い物でこういう支援に繋がっています!」というのを確認できるのが大事だと思っています。
今後の展望
ーークラダシの今後の展望を教えてください。
主に2つあって、1つ目は、クラダシだけでなく「フードロス」という課題自体の認知を拡大していくことです。
そもそも知らないことに興味関心は湧きません。それに1回聞いたことがある言葉って、目につきやすくなったり、耳に入りやすくなったりすると思います。なので、まずは「フードロス」という課題について知っていただき、その解決に取り組む方々の輪を広げていけたらと思っています。
もう1つは、EC事業である「Kuradashi」をさらに伸ばしていくことです。
長期的な目で見て、将来的なフードロスも無くせていけるといいな、と思っています。
ーー新事業の「Kuradashi Forecast」や「Kuradashi Base」のようにECサイト以外のネット事業をどんどん拡大していこうというビジョンをお持ちですか?
そうですね。フードロスや食の課題をベースにしつつも、ECサイト運営だけでなく、新たな取り組みにも意欲を持っています。
会社全体として、検討段階の新規事業も含め、以下の5つの事業があります。
①ECサイト「Kuradashi」
②ECマーケティングサービス「Kuradashi Stores」
③OMOサービス「Kuradashi Hub」
④フルフィルメントサービス「Kuradashi Base」
⑤商品開発を支援する「Kuradashi Forecast」
特に「Kuradashi Stores」では、いろいろなメーカーさんとコラボをしています。今年の9月は森永乳業さんと「Remember Viennetta」というプロジェクトを始動させました。
森永乳業との「Remember Viennetta」
今年40周年を迎えたビエネッタという森永乳業さんが販売するケーキ型のアイスがあります。意識調査の結果、Z世代のビエネッタ認知度が4.0%であることが分かったんです。
まず、「Kuradashi」サイト上で特設ページを立ち上げて、「覚えてくれていますか?ビエネッタ(40)です」という発信をしたり、実際の意識調査の回答を紹介したりしながらビエネッタそのものを知ってもらえる機会を作りました。
さらに、「Kuradashi」ECサイトとたまプラーザテラスの店舗で実際に販売もして、認知拡大にとどまらず行動変容、つまり「買ってみる」「食べてみる」まで促せるような取り組みを行いました。
SNSを巻き込んだ効果もあって、このプロジェクトがかなり好評でした。売上も想定以上に伸びているので、Storesとしてはこのような取り組みを増やしたいという思いがあります。
メーカーの取り組みを丁寧に伝える
そもそも、このプロジェクトを始めたきっかけは、商品にフォーカスが当たりやすいフードロスの世界で、クラダシなら企業の取り組みを丁寧に消費者に伝えられるんじゃないかという発想からです。
スーパーに並ぶ商品を見るだけでは、企業の取り組みの詳しい部分までは分かりません。クラダシが企業と協力することで、企業の取り組みを消費者により分かりやすく伝える役割を担っていきたいと思います。
フードロスにもお国柄がある
ーー台湾とかフィリピンにも、フードロスの問題はありますか?
あると思います。
ただ日本とは種類が違うフードロスなのかなと思います。実は、〇〇から生まれるフードロスというものが存在します...(#3へ続く)
[ 文:隅田愛莉 / 編集:吉中智哉]
[撮影:梨本和成 / デザイン:舩越英資 ]