#3 高校卒業後に海外の大学へ進学:クラダシ広報小平さん台湾留学体験記
広報として会社について教えてくれた、小平さん。
実は、高校を卒業してそのまま台湾の大学に入学したとか!
台湾留学体験記と、そこから学んだことを教えてもらいました。
【株式会社クラダシ 広報 小平佳鈴】
台湾の大学を卒業後、フードロスと飢餓の解決に携わる仕事をしたいと思い、株式会社クラダシに新卒入社。
現在は、クラダシ基金の運営、広報、事業開発の3つの部署を兼務中。
目次
新卒でクラダシに入社するまで
ーー小平さんがクラダシに新卒入社したきっかけは何ですか?
私自身、元々飢餓やフードロスの問題に興味がありました。
幼い頃から、夜にデパートやケーキ屋さんに並ぶキラキラした食べ物を見て、「これは閉店後にどうなってしまうんだろう?」と漠然とした疑問を抱いていました。
その後、中学生のときに「ハゲワシと少女」という写真を見て、「日本にはこんなにも食べ物が溢れていて、まだ食べられるのに捨てられていくものがたくさんあるのに、世界には食べることもできずになくなっていく人がいる」という事実に、大きな衝撃と憤りを覚えました。そして、その現状を何とかしたいと思うようになりました。
さらに、いろいろ調べる中で、フードロスや飢餓の問題は独立して存在しているわけではなく、教育や貧困、少年兵などの社会課題と結びついていることを知り、漠然と海外、そして国際関係に興味を持つようになりました。
コロナ禍と新卒就活
ぼんやりと、大学で1年間くらい交換留学できたらいいなと考えていた高校時代、授業中の雑談でたまたま聞いた台湾留学を、直感で「面白そう」と思って台湾への進学を決めました。
台湾の大学を卒業した後、本当はフィリピンで就職する予定でした。でもコロナ禍で入国すらできなくて。
日本での就職を考えた時に、自分の興味のあるフードロスと飢餓の解決に携わることをしたいと思い、クラダシを見つけました。
クラダシは日本のフードロスを削減しているだけでなく、売り上げの一部で他の社会課題の解決にも取り組んでいることが魅力でした。
当時、新卒採用はしていなかったので、会社のHPから問い合わせてみました。最初は返事がなかったので、今度は会社の代表アドレスに直接メールを送り、オンラインで面談をする機会をいただきました。
台湾留学を決めた理由
ーー台湾留学の経緯を詳しく教えてください。
台湾に留学した理由は2つあって、1つは直感的に面白そうだと思ったから。
もう1つは、後付けなんですけど、英語の次に話者の多い中国語を習得することが強みになると思ったからです。
台湾は物価も日本より安くて、欧米の国に行くより距離的にも文化的にもハードルが低い。じゃあ1年と言わず4年間行ってもいいんじゃないか。そう思って台湾の大学に留学しました。
中国語習得への道のり
ーー中国語はどうやって身につけましたか?
台湾留学を決めた時、中国語は全くできない状態でした。
高校時代は部活に打ち込んでいたので、引退まではそもそも進路についても真剣に考えていませんでした。引退後に台湾の大学に進学することを決意して、高3の9月から中国語の勉強を始めて次の年の9月に入学しました。
自分的にはものすごく勉強したつもりだったんですが、実際に現地に行ってみると全然わからなくて。
友達との会話でも「ごめん、1人ずつゆっくり話してもらえる?」みたいなところからのスタートでした笑。
現地で自分がどう過ごすか次第な部分はあると思いますが、4年間の留学でかなり語学力は伸びたと思います。
私の場合は最初の1年間、極力日本人と関わることはせず、基本は寮の4人部屋で台湾人3人と毎日過ごしていて、中国語を話さざるを得ない状況に身を置いていました。
マイノリティになってみる
ーー留学経験から得たものは何でしたか?
自分がマイノリティになる経験は、すごく貴重だったなと思います。外国人だけでも少ないし、日本人となるとさらに少ない。
規模の大きい大学でしたが、私の学年は日本人が5人でした。学年全体で5人、学部で100数人いる中で、日本人は私1人みたいな状況。
文化も言語も違って、そもそも私にとっての常識が彼らにとっては常識ではない。そうやって、1回自分の価値観が壊れるような経験は貴重だったなと思います。
それから、台湾人だけじゃなく、いろいろな国から来た留学生と交流できたのも大きかったなとは思っています。
フィリピンでの就職を目指したワケ
ーー台湾での大学を卒業した後に、なぜフィリピンで就職を考えたんですか?
フィリピンでの就職を考えた理由は3つあります。
まず、フィリピンに関しては、大学2年生のときに2ヶ月くらいインターンで行っていました。ネグロス島というところなんですが、ネグロス島の環境や人がすごく好きだったというのが1つ目の理由です。
2つ目は、就職しようとしていたところが、農村の現金収入の向上や教育環境の改善といったコミュニティ開発に取り組んでいて、社会課題の解決に携われる仕事だったことです。
3つ目は、もっと自分でチャレンジできる環境に行きたかったからです。
フードロスにもお国柄がある
ーー台湾とかフィリピンにも、フードロスの問題はありますか?
あると思います。
ただ日本とは種類が違うフードロスなのかなと思います。実は、日本独特の商慣習から生まれるフードロスというものが存在します。
賞味期限の意識、3分の1ルール、商品自体は問題ないけどパッケージの破損が少しあるだけでも販売が難しくなってしまいます。
*編集注「3分の1ルール」:食品の流通過程において製造者、販売者、消費者の 3 者が製造日から賞味期限までの期間を 3 分の1ずつ均等に分け合う考え方に基づく商慣習 |
一方、台湾のスーパーでは箱が潰れている商品が売られているのを見たこともあります。
完璧を求める日本とそれに応えようとする企業とが生み出した商慣習。新しいものを好む日本人の性質が、日本独特のフードロスにつながっている部分はあると思います。
フィリピンや台湾は外食文化が盛んで、屋台やマーケットが多いです。なのでもしかしたら、そこでのフードロスは日本よりも多いかも知れません。
台湾に関しては、私自身が業界や商習慣に関する知識に詳しいわけではないので明言できないですが、日常生活レベルで、屋台や飲食店の食べ残しはやはり日本と同様に発生しているのではないでしょうか。
大学生へアドバイス
ーーキャリアに悩む大学生へのアドバイスをお願いします。
個人的には、〇〇してみることをオススメします。
それが将来に繋がるのかとか、周りからどう見られるかとかって考えちゃうとは思うんですけど、それは一旦無視していいんじゃないかなと...(#4へ続く)
[ 文:渡邊舞 / 編集:はる]
[撮影:梨本和成 / デザイン:松谷萌花 ]