#4 観光地から「拠点」へ!観光協会会長が語る埼玉が目指す未来と若者へのエール

「旅行」と「観光」の違いって考えたことありますか?
単にどこかへ行くことだけが観光じゃないんです。地域の人々が誇りに思い、そこで暮らすこと自体を心から楽しんでいる場所こそ、人々を惹きつける力を持つ。
今回の記事では、さいたま観光国際協会の会長が、これからの観光のあり方、そして埼玉が目指す未来について熱く語ります。
キーワードは「拠点」。観光地ではない、新しい埼玉の魅力とは?
そして、未来を担う若者への熱いメッセージは、進路や将来に悩む大学生必見です!

【筑波伸夫さん】
慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本国有鉄道(国鉄)に入社。国鉄からJR東日本への移行を現場で経験し、鉄道業界の大きな変革を見届けた。さまざまな業種を経た後、大宮駅駅長に就任。多くのプロジェクトを主導しながらターミナル駅の運営を担った。
現在は、公益社団法人さいたま観光国際協会の会長を務めるほか、株式会社JR東日本アイステイションズの代表取締役社長として、新しい鉄道サービスの展開や観光振興に注力している。
目次
観光という言葉の由来
「観光」という言葉の由来は、中国の「易経」にある「観国之光(国の光を見る)」に遡ります。これは、当時の王が民の生活や文化を視察し、その素晴らしさを認識することに由来します。
「ツーリズム」の語源が「光」を意味することを考慮すると、観光の原点は「住んでよし」という感覚にあると言えます。住む人々が「ここは良い場所だ」と感じることで、初めて他の人々も訪れたいと思うのです。
インバウンド新戦略:さいたま市を拠点とした文化交流
近年、インバウンドで日本を訪れる外国人観光客は、単に異国を訪れるだけでなく、その国の文化を深く体験したいと願っています。さいたま市が「住んでよし」という印象を広めることができれば、今後さらに多くの外国人を受け入れることができる可能性を秘めていると言えるでしょう。
さいたま市では、ボランティア活動が活発に行われています。第二の人生を地域貢献に捧げたいと考える人々が多く、自身の知識や経験を地域社会に還元しようという意識が高いのが特徴です。

観光地ではななく拠点としての埼玉
埼玉県やさいたま市の行政関係者には、この点をぜひ認識していただきたいです。埼玉の魅力を広く知ってもらうことで、東京からの移住者増加にも繋がる可能性があります。
単に「行くか行かないか」という選択ではなく、「そこを拠点に活動する」という新しいライフスタイルを提案していくことが重要です。
さいたま観光国際協会は、国際交流事業に積極的に取り組んでいます。具体的には、さいたま市に住む外国人の生活支援や、日本文化に関するサポートなどを行っています。
コロナ禍において日本語教室や文化交流のボランティア活動が盛んに行われたこともあり、今後さらに多くの外国人がさいたま市を訪れることが予想されます。

人口135万人のさいたま市では、約2%が外国人です。彼らが「埼玉は素晴らしい」と発信することで、大規模な広告宣伝費をかけることなく、その魅力が広まります。
そのためにも、外国人の意見や文化を尊重し、積極的な交流を推進することが不可欠です。さいたま観光国際協会が主催する「日本語スピーチ大会」は、その一例と言えるでしょう。
観光の拠点として歴史文化がある町、例えば鎌倉などの町と、さいたまは違っていいのです。さいたまは拠点の地としての発展していけば良いと思います。
若者へメッセージ
ーーこれまでのキャリアを踏まえて、今の若者に伝えたいことを教えてください。
これまでのキャリアを振り返り、今の若者の皆様に心から伝えたいことは二つあります。それは「夢を持つこと」、そして「向上心を持ち続けること」です。
ただ言われたことをこなすのではなく、常に「プラスワン」の意識を持つことが大切です。言われたことに付加価値をつけ、期待を超える成果を出すことで、自身の成長を大きく加速させることができます。例えば、指示された業務に加えて、その背景や目的を深く理解し、改善点や新たな提案を加えるといった姿勢が重要です。
自身の考え方を常にポジティブに保つ方法を身につけることで、自己肯定感が高まり、更なる成長へと繋がります。壁にぶつかった時も、それを乗り越えるための糧と捉え、前向きに取り組むことで、大きな飛躍を遂げられるでしょう。

私は親から「自分のためではなく、人のために行動しなさい」と教えられて育ちました。自分のことだけを考えていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。他者のために行動することで、より広い視野を持ち、物事を多角的に捉えられるようになります。
この教えを胸に、私はこれまで生きてきました。自分自身のことだけでなく、周囲から頼まれたことは基本的に全て、NOと言わずに100%応えるように心がけています。
その結果、多くの学びと成長の機会を得ることができました。
コミュニケーションは未来を拓く
さらに、コミュニケーションと人との出会いを何よりも大切にしています。円滑な人間関係は、仕事だけでなく人生においても大きな財産となります。
人と話す前には、相手に喜んでもらえるような話題をいくつか準備するようにしています。会話中は、相手がどのような人物なのかを積極的に質問し、理解を深めるように努めます。そして、聞き出した内容から共通点を見つけ出すことができれば、会話はより一層深まります。
積極的に考え、自ら話題を提供し、共通点を見つけることで、次々と質問が湧き出てきます。会話を通じて相手を知り、自分を知ってもらうことは、相互理解を深める上で非常に重要です。協会にいる際も、挨拶をすることが多かったのですが、私は挨拶が大好きです(笑)。
場面によって適切な話題は異なるため、常に相手が喜ぶ話題を考えるようにしています。駅長時代には、ミーティングで毎回異なる話題を話するようにしていました。原稿は全て自分で作成していましたが、そうすることで、話の引き出しが増え、一生使える財産となりました。

地域と共に、夢を実現する喜びを
地域社会と連携して仕事をするのは、本当に楽しい経験です。特に、若い世代の活躍を心から応援したいと思っています。
若い方々には、遠慮せずに「やりたいこと」を伝えてほしいと思っています。私は若い人の「やりたいこと」を、心から応援しています。
若者の「やりたいこと」実現に向けて、力強く後押ししていきたいです。指示されたことをきちんと実行するのは当然のことですが、それに加えて、自ら新しいことを始めるチャンスを積極的に与えるべきだと考えています。
若い世代が主体的に行動することで、社会に新しい風を吹き込み、より良い未来を創造していくことができると信じています。
[ 文:相木大空 / 編集:吉中智哉]
[写真:梨本和成 / デザイン:松谷萌花]
投稿者プロフィール

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