#5 元NHKアナウンサー登坂淳一から就活中の大学生へのアドバイス
登坂さんのインタビューも今回が最終回。
学生時代、就活、NHK時代、フリーランス後、登坂さんのこれまでのキャリアについて語っていただきました。
ラストは、登坂さんのこの先のキャリア、そして大学生へのアドバイスを伺いました!
マスコミ、アナウンサーを目指す方は特に必見です!
【登坂淳一】
法政大学卒業後、1997年にNHKへ入局。インターネット上で「麿」の通称で親しまれるなど、幅広い層からの支持をえる。2018年に同局を退職し、フリーアナウンサー へ転身。
バラエティ番組に多数出演するだけではなく、ブログや各種SNSでの発信、俳優業など、幅広い仕事に挑戦中。
目次
これからのキャリア観
ーー色々なことに挑戦することにあまりためらいがないとおっしゃっていましたが、今後やってみたいことはありますか?
お陰様で色々な仕事に挑戦させていただき、とても広い意味では大きく1周した感じはしています。無縁と思っていた俳優業もありがたい人とのご縁でチャンスに恵まれました。
NHK時代、表に出る仕事はニュースぐらいでしたので、当時から考えると、想像できないほど仕事の幅は広がった気がしています。
なので、今後やってみたい分野を強いて挙げるとするならば、料理系の仕事に挑戦することです。
妻がいずれ育休を終えて復職するので、新米パパとして子供たちのご飯をどうするかということが至上命題で、これからの課題です。
雑誌『栄養と料理』での連載のお話が決まったので、これを良い機会に頑張って勉強するつもりで張り切っています!
時代は良くなっている
ーーキャリアに悩む学生へ伝えたいことはありますか?
最近のキャリア観というものを考えた時、僕が社会に出た26~7年前から様変わりしていると思いますし、どんどん環境も整ってきて、学生の立場は良くなっていると思います。
例えば、キャリアプランです。昔は1つの会社で勤め上げることが主流でした。いわゆる年功序列と終身雇用ですね。
でも今は、自分のライフプランやキャリアプランに併せながら働く場所を変えていく。
そんな少し前では考えられなかったことを普通に考えて"いい"時代になってきました。
そんな考え方を、大企業も含めて、世の中全体が理解してきたんですね。自分のキャリアを自分でどう切り拓いていくか、そんな本来当たり前のことを、今はようやく誰もが普通のことだと思ってスタートすることができる。
それが、今の大学生の皆さんなんじゃないかなと思います。
自分でキャリアを作る時代
僕はNHKに入って、アナウンサーとしてプロになった。
1年1年キャリアを重ねて、インタビューや伝えるスキルを磨いて、「本当のプロフェッショナルになろう」、就活の時には朧(おぼろ)げだった意識が入社してから、段々と固い意志のようなものになっていった気がします。
一方で、もう少し俯瞰した長期的なキャリアプラン、「何年経ったらこうありたい」、「何歳までにこうしたい」みたいなことはあまり考えていなかった気がします。
将来この仕事をずっと続けていくのか、あるいは変えて新しいことに挑戦するのか、その時々に無数に存在する多くの選択肢を考えながら、自らのキャリアを歩んでいける。
僕らの時代には考えられなかった働き方が、これからの時代のスタンダードになっていくと思うと、とても前向きに就活に臨めるような気がします。
大変さや過酷さはいつの時代も変わらないですけどね(笑)
人生と仕事
結局のところ、最終的に肝心なことは、仕事や活動に、自分なりの価値観や信念、軸を持っているかどうかだと思います。
僕もかつて上司に「若い人たちはすぐ辞めちゃうから、辞めないようにちゃんと指導頼むよ」と言われたことがありますが、皆さんそれぞれの人生だから、その責任を僕や先輩が背負うことは出来ないと感じました。
「お前の人生を背負う」というようなことを言ってくる上司がいたら、それは疑った方がいいですね(笑)おこがましいですし、かえって無責任です。
自分の人生は自分にしか背負えないものだと思います。
仕事に対して、自分の中での価値を見出して、大事にして、キャリアを作っていってほしい。
下手に固定観念を持たず、自分の人生の未来を作っていって欲しいなと思います。
将来アナウンサーを目指す人へ3つのアドバイス
ーー将来アナウンサーを目指している人にアドバイスをお願いします。
僕の意見はこれまでの経緯から全く参考にならなそうですが(笑)
今になって分かることを僭越ながらお話ししますと、アナウンサーを目指そうとしてる人たちは、テレビを見ることからまず始めてみてください。
アナウンサーも色々なスタイルがありますが、テレビ局のアナウンサーを目指すというなら、まずはテレビを見てください。それがそのテレビ局を知るのに一番速いですし、一番堅実です。
何せテレビさえあれば無料で観られますからね(笑)
この世界に身を置くと、それまでの人生でどれだけテレビを見てきたのか、どれだけテレビを好きでいたのかということが、その人の仕事の成果に直結します。
実体験に基づいた知識の差が、企画のアイデアひとつ取っても、番組への向き合い方ひとつ取っても、如実に顕われてくると感じます。
色んな番組を色んな角度からたくさん見てほしい。
今ならサブスクも充実していますよね。時間に捉われないサブスクを活用するのも非常に有益かと思います。
就活を社会を知る機会へ
それから、自分自身の視野を広げてほしいなと思います。
…と一言で言ってもなかなかピンとこないかもしれません。要は就職活動に忙殺されるのではなく、利用する気持ちで臨むということです。
僕の経験から言えるのは、色々な会社を業界ごとに分けて比べてみる。
大きい企業から中小企業まで。自分の興味が赴くままに、企業が出している企業情報の先にあるものを深く掘って探ってみるんです。
今は情報過多の時代です。
昔は与えられた情報誌や企業訪問など制限されたものからしか得られるものはありませんでしたが、インターネットで調べようと思えば膨大な量の企業情報が得られることでしょう。
多種多様な会社を深く掘ってみることで、その全貌を見つける作業をする。当然いくら情報に溢れているとはいえ、企業の全貌など把握出来たりはしないのですが。
世界に興味持つ
最後は、やはり世の中の出来事に関心を持つことですかね。
情報はニュースやインターネット上に溢れている時代です。その膨大な情報の中から、玉石混交の中から、本当の情報をきちんと見極める力が求められています。
見極める一番簡単な方法は比較することです。もっとも比較することが即ち真実に辿り着くことには直結しませんが、情報の取捨選択という点においては非常に有効な手段です。
同じニュースでもメディアによって色々な伝え方をしています。その視点や違いを比べることで情報の輪郭というものがぼんやりと見えてくるはずです。
何も見えない情報は捨ててしまいましょう。何度か取捨選択を繰り返して、残った情報を組み合わせることで、事実が近付くと僕は考えています。
何よりメディア業界を目指すのであれば、そこから何が真実なのか、何が真実に近いことなのかという視点と好奇心を常に持ってアプローチをしてみてください。
やることもたくさん、考えることもたくさんですが、ひとつずつ向き合って、後悔が残らないように頑張ってください!
どこかでまたご一緒出来たらこんなに嬉しいことはありません。
ーー本日は興味深いお話をたくさんしていただき、本当にありがとうございました!
\ 編集部PickUp /
今回インタビューした登坂淳一さんが主演するオリジナルドラマ「スパイめし〜異国グルメ潜入記〜」は、以下の日程で新作が放送されます。
#3【西川口 安老爺編】
2023年11 月 18 日(土)23:30~
#4【鶴見 ユリショップ編】
2023年11 月 25 日(土)23:00~
#5【横須賀 ナウリンズ編】
2023年12 月 2 日(土)23:10~
#6【高田馬場 タウンジーカフェ編】
2023年12 月 9 日(土)23:30~
詳しくはチャンネルNECO「スパイめし〜異国グルメ潜入記〜」特設ページ*をご覧ください。
*外部サイトへ移動します
*過去シリーズはこちら
[ 文:隅田愛莉 / 編集:吉中智哉]
[撮影:梨本和成 / デザイン:舩越英資 ]
▶️元NHKアナウンサー登坂淳一のキャリア論まとめ(準備中)
投稿者プロフィール
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探究ゼミでは、これから社会に出る人、出て間もない人向けにキャリアに関する情報を発信しております。仕事を通して人や社会と関わることを応援するメディアです。
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