独立リーグ経営という新たな選択肢
球団のオーナーと聞くとどこか遠い存在のような気がしませんか?
莫大な広告収入やテレビ局からの放映権で球団を運営するプロ野球がメジャーな今日、オーナーなど大企業の特権のように思えるでしょう。
しかし、その陰で密かに人気が高まっているのが独立リーグです。一見地味な存在に思えるかもしれませんが、地域密着型の戦略で最近、徐々に注目を集つつあります。
そんな独立リーグのオーナーについて紹介します。

目次
①オーナーになることのメリット
独立リーグのオーナーになるという選択は、低コストで自らのアイデアを存分に試せる自由さと、地域に根ざした球団経営を実現できる点が魅力です。既存のプロ野球と比べ、柔軟かつ迅速な判断で新たな収益源を開拓できる環境が、新たな挑戦を後押しします。
⑴自由な発想で勝負できる
巨額の広告費等で成り立つNPBやMLBに対して、年間数千万円程度で運営される独立リーグにはどこか地味なイメージがあるのではないでしょうか。
むしろそこにチャンスがあるのです。
NPBに新規参入する場合、厳格なオーナー会議と実行委員会の承認に加え、約30億円もの保証金(後で返還される)が必要となります。実際に東北楽天イーグルスが誕生した際は、保証金や球場改修費等で60億円程かかったと言われています。
しかし、独立リーグ参入であれば、その100分の1の金額で自分の球団を持てるのです。
利害関係の少ない独立リーグでは、複雑なルールに縛られることなく即断即決で新しい収益源を生み出せます。
⑵知名度を武器にできる
チームの活躍とともにオーナーの知名度が上がることで、自分自身のブランド価値を高めることもできます。
勝ち得たブランド価値を最大限活用できれば、新たにその地域に向けた様々なビジネスに裾野を広げることだってできます。
⑶チームの成長を実感できる
TV中継で優勝が決まった瞬間に、選手やサポーターが駆け寄って互いを称え合う様子をみたことがあるでしょう。この瞬間に加わりたいと思ったことはありませんか?
ゼロからチームが強くなる過程を当事者として実感できるチャンスは非常に貴重だと思います。

②独立リーグ球団の意義
独立リーグは、単に経済的なビジネスモデルに留まらず、地域社会を活性化させる重要な役割を果たしています。地元の魅力を再発見し、地域全体に新たな風を吹き込むと同時に、選手たちの成長とプロ野球界全体の発展に寄与する意義深い存在です。
⑴地方を盛り上げられる
多くの自治体では過疎化が進み、目立った観光資源がない限り活気は失われ続けているのが現状です。
球団の存在を中心に、地域を巻き込んで新しい街の魅力を創造したり、それまで隠れていた街の良さを広めることで再び活気をもたらせるかもしれません。
⑵実力のある選手の受け皿になれる
独立リーグは、NPBでの活躍が期待される選手の成長の場であり、それと共にNPBやMLBで偉大な成績を残した選手の第二の活躍の場でもあります。
実際に、ロッテで首位打者を2回獲得した角中勝也選手や中日でリーグ最多ホールドを1回獲得し、2021年には防御率1.28を記録するなど、リリーフとして安定した成績を残した又吉克樹選手など独立リーグを経験した後、NPBで活躍しています。
オーナーとして独立リーグを発展させることは、球界全体を発展させることにもつながるのです。
③球団の運営方法
独立リーグの運営は、限られた予算の中で創意工夫を凝らし、地域との連携を最大限に活用することが求められます。資金調達から収益確保、球場の活用方法まで、柔軟な発想で運営すれば、地域に愛される球団を築くことができるでしょう。
⑴資金はどうやって調達するのか
プロ野球団のように巨額のスポンサーを獲得する必要はありません。そこで、大切なのは「少額の協賛×多数」です。
地元の中小企業や個人事業主の協賛や、地方銀行、信用金庫、自治体補助、クラウドファンディングなど可能性のある資金調達先をあたってみましょう。しかし、なんのコネもない地域で信用を勝ち取ることは難しいかもしれません。
ですが、地元に野球団の存在する地域などほんの一握りです。ほとんどの地域には無い、街のシンボルを得られることにきっと地元民は喜んでくれますし、「球団を中心に地元を盛り上げる」というビジョンにも共感してくれるでしょう。
⑵収益はどうやって確保するのか
独立リーグの観客は数百人程度とプロ野球を見慣れている人からすればかなり少ないです。しかしながら地域の特産品や関連グッズ、球場フードの収益や地域の行事を巻き込む形のイベントを利用することで収益を生み出せているケースが多く見られます。
⑶球場をどう活用するか
球場は球団経営にとって最も重要なアイテムです。ただの観客席の売り上げだけでなく、音楽フェス、食の祭典、子ども向けの野球教室など、積極的にローカルビジネスの場として活用することで、数百人規模の観客でも更なる収益を確保できます。
また、公共施設を安く借りられれば、巨額なスタジアム建設費も不要です。単なる野球観戦の場ではなく「地域のテーマパーク」として捉えることが大切です。
⑷選手への報酬
独立リーグの選手の多くは、あと一歩でプロの道を断たれながらも「ハイレベルな野球をしたい!」と純粋に望んでいます。
そのため、必ずしも高額年俸は必要ありません。大切なのは彼らが精神面・身体面で安心して野球に打ち込めるような環境を整えることです。そこで鍵となるのが地元の企業とのつながりです。
球団が地域企業と連携して副業先を紹介、資格取得の支援、更には怪我をしたときに適切な治療やリハビリを受けられるように提携病院を増やすことなど、お金はかからなくても選手目線で必要なことは何かを考えましょう。
④今熱い球団 3選
独立リーグは低コストながらも、地域と密着した経営で新たな可能性を示しています。今、特に注目されるのは、各地域の魅力を最大限に活かし、ファンとの距離を縮めた熱い球団たちです。石川ミリオンスターズは、中小スポンサーや特産品との連携で安定した収益を確保し、甲子園さながらの親密な応援を実現。高知ファイティングドッグスは、地元名物を前面に押し出したイベントで観客数を飛躍的に伸ばし、地域の誇りを感じさせます。そして香川オリーブガイナーズは、地域ブランドを巧みに活用し、独自のマーケティング戦略でファンの購買意欲をかき立てています。これらの球団は、地域活性化と新しい球団経営のモデルとして、今後ますます注目されることでしょう。
⑴石川ミリオンスターズ
40社以上の各業種の中小スポンサーから年数十万円ずつ積み上げ、合計で数百万円~1,000万円規模を確保しています。その上、特産品とのコラボも毎試合の安定した収益に貢献しています。
石川ミリオンスターズの公式ホームページで、最新情報や試合スケジュールをチェックしてみてください
実際にYouTubeで視聴した石川ミリオンスターズの試合では、ファンが選手に直接名前を呼びかけたり、プレー後に声援を送る姿が印象的でした。甲子園さながらの親密な雰囲気が試合を盛り上げていました。
⑵高知ファイティングドッグス
高知名物のカツオや地酒を提供し、イベント日には観客を1.5倍に増やしています。
こよやうに地元の名物は、ファンが「この球場に来なきゃ損!」と感じるきっかけになります。
高知ファイティングドッグスの公式ホームページで、最新情報や試合スケジュールをチェックしてみてください。
高知ファイティングドッグスを特集したYouTube動画では、NPBでの活躍が期待される数多くの若手有望選手に加え、NPBで類稀なる成績を残したベテラン選手の姿がありました。
⑶香川オリーブガイナーズ
チーム名に地域ブランドを冠し、特産品販売やオリーブ関連のグッズでファンの購買意欲をかきたてています。自社商品やブランドをこうした球団経営を通じて全国に売り出すことだってできるのです。
香川オリーブガイナーズの公式ホームページで、最新情報や試合スケジュールをチェックしてみてください。
⑤まとめ
地方の魅力を活かした企業や団体がますます増えている中で、日本人と相性の良い野球のチームを地方で持つことは未知の可能性を秘めています。
その中心にいる独立リーグのオーナーは地域を盛り上げ、新たなファンと産業を育むキーパーソンなのです。
独立リーグ球団がある地域に足を運んだ際は、是非球団と地域の繋がりやそれを使った独自の戦略を目にしてみて下さい!
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